東大生ゴルファーは統計を重視する
プロコーチ・井上透は数々の女子プロを指導しながら、東京大学ゴルフ部の監督兼コーチとして学生ゴルファーたちにも上達の術を教えている。東大といえば言わずと知れた名門大学。東大生ゴルファーの思考を知れば、我々の上達に活かすことができるのではないか。さっそく井上に話を聞いた。
「基本的に彼ら(東大ゴルフ部員)の思考回路っていうのは確率を重んじているんですよね。感情に流されることなく、何が一番確率がいいかを重視している。みなさんも実際に感じるような『この場面ではこういうミスが起こりやすそうな気がする』っていう感覚だって、高頻度で起こることほどイメージが湧きやすいはず。つまり、直感的に統計を理解している状態なんです。それを彼ら東大生は感覚でなく『統計』として捉えているんです」(井上)
ゴルファーならば「統計的なデータをフィーリングとして理解できている」のだと井上。そのフィーリングをフィーリングのまま放置せず、しっかりと統計的にデータ化することで、上達することが可能だと井上は言う。たとえば自身が指導する女子プロ、成田美寿々だ。
「成田美寿々プロは高校1年生のときからデータを自分で取っていました。フェアウェイキープ率とかパーオン率とか……しかもただのパーオン率ではなく100~125ヤード、125~150ヤードといった距離別パーオン率だったり、PWや9番アイアンなど番手別にパーオン率を並べたりして、どこの番手に不得意分野があるのかを統計的に調べ、そこをピンポイントで練習するってことをやっていたんです」(井上)
その結果として、高校1年時に77だった平均ストロークが2年で75を切り、3年のときは夏場だけでいえば71を切っていたという。
「自分の不得意分野を発見するためにデータを揃える。問題点がわかればそこにピンポイントで時間を割けるから効率的な練習ができるし、練習時間や量も膨らまないから、ケガのリスクも回避できます。人間って一度ミスすることは二度するし、二度ミスすることは三度します。そういうことが起こらないように、データ上ではっきりとさせて、ちゃんと練習に取り組む事が大事なんです」(井上)
いつまで経ってもマンネリスコアを脱することができない……そんな人は、まずは自分のデータをとってみると、目の前の壁が案外簡単に壊れてしまう、かも。