ヘッド形状にばかり目がいきがちだが、パターはネックの形状によっても特性が異なる。どのネックにどんな特性があるのか、業界屈指のギアオタクでショップ店長の小倉勇人が考えた。

同じヘッドでもネックの形が違えば性能は大違い!

どもども。ギアオタク店長の小倉です。今日はパターのお話をしたいと思います。パターは単体のクラブとしてもっともモデル数が多いクラブです。ヘッドタイプは、大きく分けるとブレード、小型マレット、大型マレットの3タイプ。これにどのようなネックが組み合わされるかによってそのパターの特性が決まります。

パターヘッドで振り心地や打出し方向に影響する要素は3つあります。重心角、フェースオフセット量、そして重さです。この3要素のうち重心角とフェースオフセット量、2つの要素に関わってくるのがネックです。ネックの位置や形状によってパターの性能は大きく変化します。

最近はヘッド形状が同じでネックだけが違うパターが数多く市販されていて一見同じように見えるパターでも性能的にはかなり違うモデルもありますので、気を付ける必要があります。

ネックの違いによって変化する重心角、フェースオフセット量、重さがそれぞれどんな影響を与えるのかをできるだけ簡潔にご説明しますと、

【重心角】

ヘッドを宙に浮かせた時にシャフト軸線を通る垂線とフェース面が作り出す角度の事を指し、フェース面が横を向くほどストローク中にヘッドが開閉しようとする力が大きくなりやすい。

画像: フェースが上を向くか横を向くかでヘッドの開閉のしやすさが変わる(撮影/有原裕晶)

フェースが上を向くか横を向くかでヘッドの開閉のしやすさが変わる(撮影/有原裕晶)

【フェースオフセット量】

アドレス時にシャフトの軸線に対して、フェース面がどの位置にあるかを指す。一般的なモデルは、シャフト軸線より後方に位置し、アドレス時にシャフト外径右側に揃うように設計された「フルオフセット」、シャフト軸線上にフェース面が来るように設計された「ハーフオフセット」、シャフト軸線より前方に設計された「オフセットなし」もしくは「オンセット」、この3つに分類される。

ヘッドを宙に浮かせた時にフェース面が横を向くモデルが合う方は、ヘッドをワイパーのように弧を描いてストロークするアークタイプのゴルファーに多いですね。こういった方はアドレスの前傾が浅めです。反対に、ヘッドを宙に浮かした時にフェースがほぼ真上を向く、いわゆるフェースバランスと呼ばれるモデルはヘッドを真っすぐストロークするストレートタイプが合う方が多いです。

画像: 弧を描いてストロークするアークタイプにはフェースバランスのモデルは合いづらい(撮影/田中宏幸)

弧を描いてストロークするアークタイプにはフェースバランスのモデルは合いづらい(撮影/田中宏幸)

オフセット量は、アドレス時にどこにボールを置きたいかという効果と、左右のミスを抑制する2つの効果があります。オフセットが大きいほど右足寄りにボールがセットしやすく、右のミスを抑制しやすくなります。反対にオフセットがなければ左足寄りにボールがセットしやすく左のミスを抑制しやすくなるのです。

前置きが長くなってしまいましたが、本題のネックの話に戻りましょう。ネックのタイプはヘッドタイプより多く、大きく分けてクランクネック、ショート(スラント)ネック、L字ネック、センターシャフト、ベントネックの5タイプあります。それぞれについて説明しましょう。

■クランクネック

画像: クランクネック(撮影/野村知也)

クランクネック(撮影/野村知也)

一般的にブレードタイプに採用されることが多い。鍵型ネックともいわれ、適度な重心角とフルオフセットを持ち、ヘッドターンがしやすいため右のミスを軽減する効果がある。また重心角が適度なためにストロークタイプがストレートの方でも比較的使いやすい

重心角:適度
オフセット量:大
合うストロークタイプ:アークタイプ(ストレートタイプも可)

■ショートスラントネック

画像: ショートスラントネック(撮影/野村知也)

ショートスラントネック(撮影/野村知也)

クランクネックよりネック長が短く、重心角が大きくなりやすい。ヘッドターンしようとする力は大きく操作性も高め。ほとんどのモデルがオフセット量の大きいフルオフセットだが、まれにハーフオフセットのモデルも存在する

重心角:やや強めに傾く
オフセット量:大
合うストロークタイプ:アークタイプ

■L字ネック

画像: L字ネック(撮影/野村知也)

L字ネック(撮影/野村知也)

アイアンと同じようにヒールの端からネックが生えていて重心角が非常に大きい。フェースのヒール側とトゥ側でボールの転がりが大きく変わるので様々なテクニックが使える反面、安定したストロークをするのはしっかりヘッドをコントロールする必要がある

重心角:大きく傾く
オフセット:大
合うストロークタイプ:アークタイプ

■センターシャフト

画像: センターシャフト(撮影/野村知也)

センターシャフト(撮影/野村知也)

フェースの芯に向かってほぼ真っ直ぐにシャフトが刺さっているモデル。重心距離がないモデルと少しだけ装着位置をずらし、重心距離を微妙に持たせたモデルが存在する。オフセットはなく、ストロークがストレートタイプの方に合う。芯に当てやすい特性があるが、芯を外すとヘッドはブレやすい

重心角:ほぼ真上
オフセット:なし
合うストロークタイプ:ストレートタイプ

■ベントネック

画像: ベントネック(撮影/野村知也)

ベントネック(撮影/野村知也)

ネックはほとんどなく、シャフト自体を湾曲してネックの役割を持たせたモデル。ほとんどがフェースバランスに設計されていて、ストレートタイプがオートマチックにストロークするのに向いている

重心角:ほぼ真上
オフセット:大
合うストロークタイプ:ストレートタイプ

パターの性能のほとんどは、ヘッドの基本設計で決まります。ですがネック位置によって重心角やオフセットが変わるとほとんど別モデルのような特性になるパターもあります。是非パターを購入する時は、ネックにも注目してみてくださいね。

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