見事に2勝目を手にしたささき選手。とくに成長を感じさせたのが、難易度の高い17番のティショットでした。16番で新垣比菜選手にバーディを奪われてスコアで並ばれながらも、飛距離よりもフェアウェイキープを優先させ、それを実行したショットマネジメントは冷静で、見事でした。
ささき選手のスウィングを見てみると、バックスウィングでのゆるみのなさに特徴があります。どっしりとしたアドレスから、トップの位置までにしっかりと筋肉が伸ばされ、エネルギーが溜められています。
そのことにより、伸びた筋肉が縮もうとする作用である伸張反射がおきます。「デコピン」を想像してもらえるとわかりやすいと思いますが、いわばトップでは親指で中指にストッパーをかけて力を溜めた状態。ダウンでは親指のストッパーを外し、中指が勢いよく加速した状態。
ダウンスウィングで力を入れるのではなく、トップまでの段階でエネルギーを上手く溜め込めているから、このように伸張反射を生かしたスウィングができるんです。
その秘密は、アドレスにあります。足の裏でしっかりと地面をとらえ、その感覚を保ったままバックスウィングすることで、下半身がゆるまずに、上半身はしっかりと背筋まで伸ばされているんです。
ささき選手はクラブへのこだわりも強く、今季は契約フリーで臨んでいます。とくにユニークなのがユーティリティのセッティング。同じロフトのヘッドを2本入れ、シャフトの重量と長さ、ロフトを調整して飛距離の違いを出しているんです。
ささき選手にユーティリティを提供しているクレイジーのツアー担当・吉田尚亮さんに寄れば、「ささきプロは感覚が鋭く、打った感覚と飛距離、弾道がマッチするまで徹底的にテストします。ベースは24度のヘッドでロフトを立てシャフトを重く短くしたものと、さらにロフトを立てて軽いシャフトで長さを長くしたものでセッティングが決まりました」とのこと。
ロフトの数字が同じでも、欲しい距離、打ちたい弾道が打てれば問題なし。その柔軟な発想と、クラブに対する目利きがあればこそのセッティングと言えるかもしれません。ときに初優勝より難しいとも言われるツアー2勝目。それを実現したことで、今後さらなる活躍をしてくれると思います。