ソールの形状に違いがあった
まず試打したのは、キャロウェイのアジア限定モデル「マックダディフォージド」。高いスピン量とフォージドならではの打感が魅力というモデルだが、果たして打ち心地はどうか。
さっそく堀口が試打。するとキャリー94ヤード、総飛距離93ヤードという結果が。これは、弾道計測器フライトスコープが、この弾道ならばバックスピンで戻るだろうと計算したということ。堀口によれば、「過去に見たことのない現象」だという。計測結果によるとスピン量は一万回転を超えていた。打った感触はどうだろうか。
「打感がすごく柔らかいですね。アドレスした時にピタッと拾ってくれるイメージで、すごく構えやすいです」(堀口)
「鋳造とフォージド(鍛造)で打感は変わらないと説明するメーカーもありますが、個人的にはやはり“フォージドの打感”というものがあると思います。マックダディフォージドも、フォージドならではの柔らかさを感じるウェッジです」ともう一人の試打者、中村もいう。
その中村がフルショットした試打結果は、キャリー90ヤード、総飛距離90ヤードというもの。ランがゼロの、その場でピタッと止まる打球となった。中村が注目したのはソール形状。
「バウンス(ソールのふくらみ部分)が効き過ぎないようにできています。フェースを開いたとき、トウ側やネック側が引っかからないように上手く落とされています。ただ、バウンスが効かない訳ではなく、フェースを開くと一番後ろ側がしっかり地面に当たるようになっているので、バンカーやライが悪いところなんかでは、脱出をサポートしてくれるはずです」(中村)
また、一番下に短めに入れられたスコアラインの影響で、下目で薄くヒットした時でもしっかり食ってくれる点も評価していた。
続いては、クリーブランド「RTX4」。各ロフト角ごとに最大4種のソール形状をラインアップしており、今回試打するのはミスへの許容性と自由度の高さが特徴のミッドタイプ。
打つなり「食ってるな~これ」と堀口。キャリー108ヤード、総飛距離107ヤードと、また“戻る打球”が飛び出た。
「すごく吸い付いた感が強いですね。そして弾道が非常に高い。高いんだけど、スピンもしっかり効いています。マックダディとはちょっと違う感じの打感で、フェースの食いつき方はRTX4のほうが強く感じます」(堀口)
続いて中村が試打。マックダディと比べた場合にもっとも異なるのはソール形状だと指摘する。
「マックダディフォージドが、バウンスが邪魔せず抜けるソール形状だとすれば、RTX4はソールが地面をとらえた上で、潜らないように滑ってくれる印象です。抜けるか、滑るか、その違いですね」(中村)
中村によれば、上からダウンブローの軌道でとらえたいタイプはマックダディフォージドのソールのほうが相性が良く、反対にボールのやや手前から滑らせるようにソールを使いたいタイプのゴルファーには、RTX4が合う可能性が高いという。
バウンスが邪魔をせず、必要なときだけ効くマックダディフォージドと、バウンスが良く効いて、多少のダフリもカバーしてくれるRTX4。同じウェッジでも、その特性は異なる。
ウェッジはプロが使っているモデルや人気のモデルの「指名買い」だったり、構えたときの顔の良さで決めることが多いクラブだが、ドライバーやアイアン同様に試打をしてから買うことを中村は推奨する。
「インパクトでのバウンスの当たり方は、モデルによって大きく異なります。何本かを打ち比べれば、アマチュアの方でもその違いを感覚的に理解できるはず。フェースを開いた場合、閉じた場合でその当たり方も変わりますから、複数のウェッジを、開いたり閉じたりしながら打ち比べると、自分に合うウェッジだったり、バウンスの役割だったりがわかると思いますよ」(中村)