今年も自身4回目となる日本オープン出場を果たしたアダム・スコット。彼が日本に来るたびに必ず行っているのが、日本のジュニア・アマチュアゴルファーを集めてのトークセッション。元世界ランク1位のマスターズ王者は、未来のゴルファーたちに何を語ったのか?

トークショーは、JGA(日本ゴルフ協会)ナショナルチームに在籍するトップレベルのアマチュアゴルファーから、地元のアマチュアゴルファー(中学生・高校生)を対象に、アダム・スコットがプロゴルファーとして活動するにあたっての心構えや日々の生活、ジュニア時代の思い出などを語るというもので、セッションの最後にはジュニアゴルファーたちからの質問も受け付けている。

画像: 4度目の日本オープンを50位タイで終えたアダム・スコット(撮影/大泉英子)

4度目の日本オープンを50位タイで終えたアダム・スコット(撮影/大泉英子)

これはアダム自身がジュニアゴルファーだった時、グレッグ・ノーマンら自国の英雄プロに直接会い、話をしたことがおおいにその後の人生に役に立っているという経験を踏まえて、自らの発案で行なっているものだ。ここにアダムのゴルフに対する考え方、試合に対する臨み方が詰まっている。ジュニアゴルファーだけでなく、一般ゴルファーにとっても役立つヒントがあるので、参考にしてみよう!

プロはみんなのお手本になること。石川遼の取り組みは素晴らしいよ

Q:ゴルフを始めた時からプロになろうと思った?

僕がゴルフを始めたのは5歳の時。プロゴルファーの父と、ゴルフがうまかった母の元で育ったので、若いころからゴルフをする機会は多くありました。ジュニア時代はゴルフ以外にテニスやオーストラリアンフットボール、クリケットなどもやりましたが、こうして小さい時にいろいろなスポーツを経験することはとても重要なことです。13歳の時に他のスポーツをやめてゴルフ一本に絞ったのですが、ゴルフだけをやるようになってからも過去やってきたスポーツの経験は生きています。

画像: 会場からの質問に答えるアダム(撮影/大泉英子)

会場からの質問に答えるアダム(撮影/大泉英子)

Q:13歳の時にゴルフ1本でやろうと思ったというが、その時点でプロになろうと思ったの?

そうですね、プロになろうと思いました。そしてそれまでには、(ゴルフのような)個人スポーツだけでなく、(野球のような)チームスポーツもやりましたが、チームスポーツから学んだことは、「自己中心的になりすぎないこと」。

ゴルフをしていると、ゴルフだけに集中しがちですが、若い時は他のことも楽しみながら、もっと視野を広く持ってオープンな気持ちで臨んだ方がいいですね。一つのことを極めるには、それに集中してやることも大事ですが、若い時は他のことにも目をやりながら、いろいろなものを取り入れた方がいい。そして趣味や音楽など、いろいろなことを楽しみながら、視野を広く持つことが大事です。それが自然とゴルフにもいい影響を与えるようになります。

Q:グレッグ・ノーマンに憧れたと聞いてますが、ジュニアの頃に会って、話をする機会はあった?

はい、ありました。僕の憧れの選手は、自国オーストラリアのヒーロー、グレッグ・ノーマン。僕が13歳の時、彼は世界NO.1プレーヤーでした。彼はジュニアファウンデーションを持っていて、ジュニアの教育にも力を入れており、その団体がジュニア向けのトーナメントを開催した時にグレッグに会うことができました。こうして僕はジュニアの頃から、すばらしい選手たちに直接会い、話をするチャンスに恵まれていたんです。

日本では石川遼がジュニアの育成に力を入れていると聞いていますが、こうした取り組みはすばらしいことです。プロゴルファーであれば、みんなのお手本になることは大事。グレッグは若者に素晴らしい印象を与え、いいお手本でした。試合に勝てなくても変な態度をとることもなく、素晴らしい人でした。ゴルフをするにあたって、誠実さも大事ですが、これはゴルフだけでなく、人生のレッスンとも言える大切なことです。

画像: 石川遼はジュニアゴルファー育成に極めて熱心に取り組んでいることでも知られる(写真は2018年のパナソニックオープン 撮影/大沢進二)

石川遼はジュニアゴルファー育成に極めて熱心に取り組んでいることでも知られる(写真は2018年のパナソニックオープン 撮影/大沢進二)

アダムが伝えたかったこと。「恐れずに、なにか新しいことをやってみなさい」

Q:プロになるために、どんな練習をしてきた?

実際、プロになるためにできるだけ多くの時間を費やして練習しました。当時、僕はプロゴルファーになることしか考えていませんでしたが、家族など周りの人たちからは、念のため勉強もしっかりやった方がいいとアドバイスを受け、勉強にも精を出しました。

プロゴルファーになれなかったら、というだけでなく、プロになってから腕を骨折してゴルフができなくなる、ということも十分考えられるからです。勉強をしっかりやったおかげで、今の自分の精神面において役に立っていることもありますよ。

Q:プロ入りしたのは何歳? 何が目標だった?

19歳でプロ入りしましたが、目標は「世界NO.1の選手になること」と「メジャー優勝」。アマチュアの時にプロの試合に出たりして、いい成績を残していたので2000年6月にスムーズにプロ転向できましたが、その当時、タイガー・ウッズが全米オープンで15打差をつけてぶっちぎり優勝。もしかして自分の夢は難しいかもしれないと思いました(苦笑)。

その後、マスターズでメジャー初優勝を遂げたのはプロ入りして13年後。世界一になったのは14年後のことだったので、いろいろな目標はありますが、それを達成するには時間がかかりますね。でも決してギブアップしてはいけません。練習し続けていけば、きっと成績もついてきますし、困難なことがあっても決して前に進む気持ちを忘れずに練習することです。

画像: マスターズ・チャンピオンの言葉に耳を傾けるジュニアゴルファーたち(撮影/大泉英子)

マスターズ・チャンピオンの言葉に耳を傾けるジュニアゴルファーたち(撮影/大泉英子)

Q:決して諦めずに自信を持ってやっていくことがどんなに大事なことか……。例えば、最終ホールに来て、1打差でリードしている、あるいは1打差で追いかけている時、最終ホールが難しいホールだった時、アダムはどういう気持ちの持ち方をするの?

そういう状況下では、過去の様々な経験が生きてきます。先のことを考えすぎずに、自分が過去やってきたことに自信を持って取り組む。ゴルフではタイガーを持ってしても7割は試合で勝てないので、勝てない試合から何かを学ぶことはとても重要です。

Q:マスターズやナショナルオープンなど大きな試合で優勝争いを何度も経験してきたと思うが、そういう時でも平常心を保てるメンタルトレーニングはあるか?

若い頃は心理学者に話を聞いたりしたこともありましたが、個人的にはあまり考えすぎたくありません。緊張した時は、あえてゆっくり歩き、ゆっくり呼吸し、あるいはゆっくり話したりしています。こうして「ゆっくり何かをやる」ことによって、気持ちが落ち着いてきて自分のプレーに集中できるようになります。試してみてくださいね。まぁ、僕自身もマスターズなどメジャーになると、気持ちの高ぶりが直るまでに3ホールくらいかかったりしますが……。

Q:なんで長尺パターを使うことになったの?

もともと長尺パターに変えたのは、パッティングが不安定で入らなかった時に、何か今までと違うことをしたいと思ったから。パッティングにフラストレーションを抱えていたので、完全に今までとは違うことをやってみたいと思ったんです。ここで皆さんにお伝えしたいのは、「なにか新しいことをやってみなさい」ということ。恐れずにやってみることが大事です。

僕が長尺を使い始めた頃、若い選手が長尺を使っているということで、周囲から変な目で見られることもありましたが、それを気にせず使っていたらマスターズでも優勝でき、いい結果を残すことができました。

画像: 日本オープンでも長尺パターを使用したアダム(撮影/姉崎正)

日本オープンでも長尺パターを使用したアダム(撮影/姉崎正)

30歳になるまで普通のパターを使って優勝もしていましたが、いろいろな試行錯誤を繰り返していても改善できず、すべてゼロに戻して新しいことに挑戦してみようと思いました。周りに何を言われても、新しいことにチャレンジすること! そして時間をかけて練習を繰り返すことで、自信を高めること。これが最も大事なことです。

Text&Photo/Eiko Oizumi

キャロウェイ

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