香妻琴乃、稲森佑貴、出水田大二郎、星野陸也の共通点はなんだろう? そう、全員が「今年ツアー初優勝を挙げたプロ」だ。実はあとふたつ共通点があって、それはダンロップの契約選手だという点。さらに、初優勝の前に、同社の新製品をバッグに入れているという点だ。
その新製品とは、今年6月末のダンロップ・スリクソン福島オープンでツアーに投入された新しい「スリクソンZ85」シリーズ。そして、この試合以降ダンロップ契約の若手プロたちが次々に初優勝を遂げている。
具体的には、出水田大二郎はZ785とZ585のニューモデルアイアンふたつを組み合わせてRIZAP KBCで初優勝。その翌週は星野陸也がZ585アイアンを手にフジサンケイで初優勝を果たしている。初優勝ではないが、秋吉翔太はZ785アイアンをバッグに入れた試合で2勝目を挙げている。
秋になっても勢いは止まらず、9月のマンスシングウェアレディース東海では香妻琴乃がZ785ドライバーとZ585アイアンで初優勝。つい先日の稲森佑貴の日本オープンでのプロ初優勝は、Z585ドライバーとZ585アイアンでもたらされている。
契約選手ならば契約先メーカーのクラブを使うのが当然……なのだが、シーズン途中の場合はなかなかクラブを変えられないケースもある(実際、秋吉、出水田、星野はアイアンのみのチェンジ)。それが、多くのプロがニューモデルにシフトし、なおかつプロにとって一生に一度の「初優勝」をモノにしている、しかもそれが4人もいるというのはちょっと偶然の一言では片付けられない気もする。
これらのクラブはどのようなクラブなのか。ギアに詳しいゴルフライターの児山和弘は言う。
「まずZ585アイアンですが、ポケットキャビティで芯が広く、ボールが上がりやすいクラブです。また、ボディは軟鉄鍛造ですがフェースはクロムバナジウム鋼で、7番アイアンのロフトが31度といわゆるプロモデルに比べると2、3度立っている。典型的なプロ使用モデルに比べれば、確実に1番手は余計に飛ぶクラブです」(児山)
つまり、プロが使うクラブとしては“飛び系”に属するアイアンなのだ。児山曰く、「男女プロがともに使うクラブで、かつ飛び系のアイアンはかなり異例」とのこと。ではウッドはどうか。
「ゼロスリクソンという触れ込みのクラブですが、その言葉通り前作からガラッと変わっています。それだけに、すぐに変えられないプロもいるはず。稲森プロが使うZ585は同社のアマチュア向けクラブ“ゼクシオ”っぽいとよく言われるんですが、実際につかまりのいいクラブ。誤解を恐れずにいえば、プロ好みではないクラブなんです。ゼクシオを使っていた稲森プロならではのチョイスです」(児山)
ちなみに、Z785ドライバーはシニアで賞金王に王手状態のプラヤド・マークセンが使用してすでに2勝。タンヤゴーン・クロンパはISPSハンダマッチプレーに勝ち、5000万円の賞金をつかんでいる。
「このドライバーは打感が柔らかくて、やさしく、ドローで飛ばせる。15ヤードは飛距離が伸びたよ」とクロンパは証言。今週開催のブリヂストンオープンの練習日では、軽いアゲンストの中299ヤードの飛距離を計測したというからすごい。ちなみに、マークセン、クロンパ、香妻、稲森らはフェアウェイウッドも新製品。マークセンはユーティリティ、稲森はハイブリッドも新しい「85シリーズ」にシフトしている。
Z85シリーズはこの先もプロに初優勝をもたらすか? 注目だ。