肩の荷が下りた男たち
これまでトップ10に21回も入りながらなかなか優勝出来なかった稲森佑貴選手が日本オープンでついに初優勝の栄冠を勝ち取りました。なかなか勝てないというプレッシャーから解放されて、大きな階段をひとつ上がったような、肩の荷が下りたような、今はとても充実した気分でしょう。こういう気分や流れのときは良いプレーをしやすい状態だと思います。今週のブリヂストンオープンを前に稲森選手をはじめ、今そんな状態にいるのではという選手に注目してみます。
まずは宮里優作選手。今季はヨーロピアンツアーを中心に戦っています。まだアフィリエイト(準)
メンバーの宮里選手はレギュラーシーズン最後の3戦を残し、推薦をもらえそうにないということでシード権が確定しないまま日本に帰国しました。
最後から3試合目のダンヒルリンクス選手権で多くの選手に抜かれてしまい、レース・トゥー・ドバイ・ランキング(編注:欧州ツアーのポイントレースのランキング)は大きく下がりました。先週はさらに抜かれてシード権が危うくなるのではとイギリスで行われてる試合の動向を気にしながら日本オープンに出場しましたが、予選落ちという結果に終わりました。
先週のイギリスの試合が終わったところで心配されたランキングは結局ひとつしか下がらず、これでほぼ来季のシード権は当確。ブリヂストンオープンの会場ではホッとした表情の宮里選手に会うことが出来ました。先週の不安な状態から解放されて、今週は気持ち良く試合に臨めるのではないでしょうか。
続いて岩田寛選手。2年前はPGAツアーに挑戦していた岩田選手ですが、帰国してからは思うようなゴルフが出来ず苦しんでいました。昨年から今年の前半にかけては途中まで良くてもひとつのミスを引きずってしまったり、自分のミスを許すことが出来ず順位を下げて終わる展開が多かったように思います。力がある岩田選手とはいえシード権のプレッシャーも少しはあったかもしれません。
9月のダイヤモンドカップで久しぶりの優勝争いを耐え抜き3位でフィニッシュしました。これで肩の荷が下りたのかもしれません。日本オープンでも4日間日ごと順位を上げ3位タイに入りました。さらに気持ちは楽になり、何か手応えのようなものが確信に変わりつつある状態ではないかと側から見て感じます。
最後に嘉数光倫(かかずてるみち)選手。沖縄県出身で若い頃から有望な選手と見られてきましたが、
なかなか成績が出ず、気がついたらプロ転向してから7年が経とうとしています。昨年チャレンジツアー(現 AbemaTVツアー)で初優勝を挙げてからようやく軌道に乗ってきた感じで、2週前の石川遼 everyone PROJECT チャレンジで単独2位に入って賞金ランクで13位にジャンプアップして来季の出場権を確定させました。
すると翌週の日本オープンでは再三絶妙なアプローチでしのぎ3位タイに食い込みました。これでツアーの賞金ランクは50位に上がり、一気にシード権の当確ライン付近まで来ました。今週はAbemaTVツアーの出場を予定してましたが、急遽主催者推薦をもらってブリヂストンオープンに出場します。来年のシード権という重荷から解放されて今週は気持ち良くプレーすることでしょう。