現在約716万円を稼ぎ、現在開催中の「太平洋クラブチャレンジ」開幕前の段階でAbemaTVツアーの賞金ランクトップに君臨する25歳の佐藤。AbemaTVツアーの賞金王は、翌年のレギュラーツアーの優先出場権を得るが、その位置にもっと近づいている。
佐藤によれば、今季の好成績は2016年のQT(ツアーへ出場するための予選会)に失敗したところから端を発しているという。国内では試合がない。そこで、戦いの場を中国に求めたのだ。
中国には、PGAツアーチャイナというツアーがある。PGA(米男子)ツアーの“三軍”にあたるツアーで、その成績上位者は、米ツアーの下部ツアーにあたるWeb.comツアーに進むことができる。そして、Web.comツアーで成績上位に入れば、夢のPGAツアー参戦というわけだ。隣国・中国にはPGAツアーに至る道筋がある。
ただ、2017年はツアー自体が1年間休止。佐藤は、中国ゴルフ協会が主催するチャイナツアーの予選会を突破し、8試合に参戦。1勝を挙げ、賞金ランク16位の成績を残している。少々ややこしいが、PGAツアーチャイナが再開された今年、佐藤は同ツアーの予選会を突破し、参戦を果たす。
「PGAツアーチャイナはアメリカからの選手や、Web.comを目指す選手が多く戦っています。ランクが上の選手はむちゃくちゃ上手いですね。世界は広いというか、上手な選手はたくさんいますし、飛ぶ選手もたくさんいます。その中でやっていくうちにいろんな刺激を受けて自分でも成長を感じています。それが今季の成績につながっていると思います」(佐藤)
佐藤曰く、PGAツアーチャイナで揉まれる中で見出したのは、ショートゲームの重要性だったという。
「以前は飛ばそう飛ばそうとしていました。同級生の幡地隆寛君と回るとはるかに飛ばすので。でも海外に行くとその幡地君よりも飛ばす選手もいます。そこには追いつけないので、自分の持っているショートゲームを活かしたほうがレベルアップにつながると思っています。PGAツアーチャイナのコースは距離も長くメンテナンスも抜群です。開催は中国全土に渡るので移動も日本と比べると大変ですが、ゆくゆくは米ツアーを目指しているので、来年もPGAツアーチャイナには行くつもりです」(佐藤)
QTでの失敗をバネに、遠征費や言葉の壁、移動距離、芝の違いやコースセッティングの違いなど、数々のアゲンストにも負けずたくましく異国で成長した佐藤。タフな状況を経験することでゴルファーとして一皮むけたようだ。
国内ツアーに出られないなら、お隣・中国から世界に通じるPGAツアーチャイナへ。若手プロにとっては、グローバルな時代の、新たな選択肢なのかもしれない。