PGAツアーの2018-2019シーズンの第二戦「サンダーソンファームズ選手権」で優勝を飾ったのはツアールーキーのキャメロン・チャンプ。ルーキーイヤーの開幕からわずか2戦目で勝つことも驚きだが、平均飛距離343.5ヤードのズバ抜けた飛距離が世界のゴルフ界で大きな話題となっている。次世代を担うスター候補はなんでこんなに飛ぶのか? プロゴルファー中村修が解説。

下部ツアーでの平均飛距離は驚異の343.1ヤード

昨年の「全米オープン」取材時のこと。会場で、「異様に飛ぶアマチュアがいる」と話題になっていたアマチュアがいました。公式記録によれば4日間プレーしたうち、320ヤード以上飛ばしたホールは15ホール、350ヤード以上飛ばしたホールは7ホールあり、最長で365ヤード、平均でも339.3ヤードという記録を残したのが、今回優勝したキャメロン・チャンプでした。

当時はテキサスA&M大学の学生で、コーチを務めるJ.T.ヒギンズに話を聞いたところ、もともと飛距離はある選手だったことから、指導はアイアンの距離感やショートゲームを重点的にやっているという話でした。その後プロに転向し下部ツアーの「web.com」ツアーに参戦し1勝を挙げ、賞金ランク6位となってPGAツアーの出場権を得ると、2戦目での初優勝。スター街道を寄り道なしで突き進んでいます。

WEB.comツアーでの平均飛距離はツアー1位の343.1ヤード。ツアーが違うので純粋な比較はできませんが、参考までにダスティン・ジョンソンの2018年の平均飛距離は314.0ヤードですから、どれだけ飛ぶかがうかがえるというものです。

スウィングを見てみると350ヤード近くも飛ばすのにドラコン選手のようなバランスを崩すほどの強振しておらず、あくまでもバランス重視の“ツアープレーヤーのスウィング”で飛ばしているのが特徴的。体格的にも180センチ、79キロと、松山英樹選手をスリムにしたようなイメージで、プロレスラーのような体格をしているわけではありません。

画像: トップからの切り返しで背骨を中心とした回転でクラブが体に巻き付くようにダウンスウィングする(写真は2017年の全米オープンの練習場)

トップからの切り返しで背骨を中心とした回転でクラブが体に巻き付くようにダウンスウィングする(写真は2017年の全米オープンの練習場)

実際に見た印象は、とにかく切り返しからクラブが体に巻き付いているんじゃないかというくらい回転が鋭く、打ち出されたボールは速すぎて真後ろから見ていないと目で追えないくらいでした。練習場ではありましたが、何度打っても同じ弾道で、これだけの飛距離を出しながら再現性の高いスウィングだと感じました。

チャンプが契約するクラブメーカー、ピンの公式YouTubeチャンネル内のチャンプの特集動画には、チャンプの弾道を弾道計測器・トラックマンで計測するシーンがあります。それを見ると、ヘッドスピード(クラブスピード)は57.98m/s、打出し角は9.1度、スピン量は2767回転、キャリー351.4ヤード、トータル377ヤードと、規格外の数字が並びます。

画像: ピン社の公式YouTubeチャンネル「59 Seconds: G400 Max Distance with Cameron Champ」から www.youtube.com

ピン社の公式YouTubeチャンネル「59 Seconds: G400 Max Distance with Cameron Champ」から

www.youtube.com

ここで注目すべきは、9.1度と低い打ち出し角に2767回転というそこそこ多いバックスピン量です。ヘッドスピードが40~45m/sであればこの打ち出し角とスピン量だと球が上がり切らずに飛距離に結び付きませんが、57m/sを超えるヘッドスピードだからこそ、この低い打出し角でもしっかりと揚力が得られ、大きな飛距離に結び付いています。

ポイントは、スピン量がある程度あるということです。野球のナックルボール、サッカーの無回転シュートなどを想像してもらうとわかりやすいかと思いますが、回転の少ないボールはコントロールが難しく、ときに挙動が不規則になります。対して、スピンが入ったボールはコントロールが可能。

チャンプは、これだけの飛距離がありながら、スピン量も一定以上あることで、ドローやフェードを打ち分けることもできるはず。ただの飛ばすだけではなく、ツアーで勝てる理由が、この計測結果からも伺えます。しっかり“上手い”んでしょう。

この優勝で世界ランキング234位から121位へとジャンプアップしたキャメロン・チャンプ。これでメジャーへの出場資格もゲットしました。1年後には世界ランク何位になり、なにを成し遂げているか。非常に楽しみな選手がまた一人誕生しました。

キャロウェイ

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