アマチュアのアドレスは「反りすぎ」と「猫背」の両極端
今回は「正しいアドレスのつくり方」をテーマにレッスンをしていきましょう。まず、アマチュアの方のアドレスにありがちなのが、背筋の真っすぐ伸びた姿勢を意識しすぎて、背筋が反りかえってしまう人。その逆で、背中が丸まってしまう、いわゆる猫背のアドレスの人。
この2つのどちらかになっている人が多く、これでは体がスムーズに動きません。スムーズに体が連動する、正しいアドレスをつくるには、反るか丸めるかの両極端ではなく、張りをもたせる部分と丸みを持たせる部分が必要になります。
では、実際にどのような手順でアドレスをつくっていけばいいのか。まず、いちばん重要になるのが、股関節のポジションです。股関節の正しいポジションを決める方法としては、直立した姿勢から、オモチャの“水飲み鳥”のように、片方の足を後ろに出して、上体を前に倒します。上体の前傾はそのままで、後ろに上げた足を元に戻すと、股関節から前傾でき、正しいポジションに収まります。
このときに注意したいのが、先ほどの背中が張りすぎることによる“反り腰”です。背中を反りすぎて、筋肉が緊張してしまうと、前側のお腹に意識がいかず、力も入りません。背中の筋肉に意識が集中して、腹筋に力が入らないと、ダウンスウィングからインパクトで前傾姿勢が起き上がってしまいます。フェアウェイウッドが苦手な人や、体の柔らかい女性ゴルファーは、こういうアドレスになっていないか注意しましょう。
アドレスでは、背中の筋肉よりも腹筋を意識することが大事で、それが正しいスウィングにも繋がります。先ほどの要領で正しく股関節から曲げて前傾姿勢を作ったら、肩甲骨を広げるようにして、胸を丸くします。こうすると腰が反ることなく、腹筋にしっかり力が入るようになるのが分かるはず。腹筋に力が入れば、アドレスの前傾姿勢をキープしたままスウィングできるようになり、クラブの軌道も安定します。
胸を丸める感覚をつかむには、両腕で両ひざを抱えた姿勢で30秒間静止します。これを行った後にアドレスをすると、自然と胸が丸まり、腹筋に意識が集中し、力も入ります。たとえばラウンド中、右プッシュアウトのミスばかりで、ボールがつかまらないというとき、この姿勢を30秒ぐらい行ってから打つと、途端にボールがつかまるようになって、右プッシュのミスが出なくなるんです。
いいショットはいいアドレスからしか生まれません。ミスに悩んだときは、あれこれとスウィングをいじる前に、アドレスをチェックする習慣を身に付けましょう。
写真:小林司