監修に名を連ね、改修者であるリース・ジョーンズとの話し合いの場を2度持ったという松山。ジョーンズから「どう思う?」と聞かれたことに対し、松山自身が意見を述べるというかたちで作業が進められたという。
「こういう感じのプランがあるよという所で、僕の思った所は(話し合いの場で)話させていただいた」(松山)
そんな松山監修の太平洋クラブ御殿場コース。大会のセッティングとしては、7246ヤードのパー72から、7327ヤードのパー70への変更が1番のポイントなるだろう。
たとえばパー5だった6番ホールは510ヤードの長いパー4に。これにより池が効いてきて、よりスリリングなホールになる。また、15番はそれとは逆に短いパー4ホールだが、ティグラウンドが前後に長く改修されたことで、日によっては「ワンオンチャレンジ」可能なセッティングになるという。
近年の全米オープンではただ距離を長くするのではなく、日によって特定のホールで極端に距離の短いセッティングを設け、プロの技術を引き出し、ギャラリーを楽しませる工夫を行っているが、それを思わせるセッティングだ。
松山自身、PGAツアーでの経験がコースの監修にも生かされているかという質問に対し、「そこはあんまり考えずにやっていた」としながらも、「多分アメリカツアーでやってることが少しでも感じる部分があったんじゃないかなと思います」と発言している。
さて、そんなコースを預かって、JGTO(日本ゴルフツアー機構)のセッティングディレクターを務めたのがプロゴルファーの田島創志。田島は言う。
「リースがリメイクして英樹の意見も入っている。その辺りも汲み取ってセッティングします。印象は近代的になりました。日本のゴルフ場の伝統を否定するわけではありませんが、(日本のコースは)ティショットに厳しくてセカンド以降に甘いんです。(それに対して改修後の御殿場コースは)ティショットをダイナミックに打たせて2打目以降はターゲットを絞っていくという、本来ゴルフが持っているゲーム性、そこに近づけたリメイクだなと。僕からは優勝スコアのことは言えませんが、最高のプレーを引き出すようにセッティングしたいと思います」(田島)
田島の言葉を裏付けるように、プレーヤーであるベテラン・藤田寛之も「ティショットは打ちやすくなった」と言う。
「フェアウェイが広がりましたよね。ティグラウンドも広くなって、フェアウェイに対しては打ちやすくなったかなと。(グリーン周りに関しては)多少グリーン周りの刈りこんだところが多くなってきて、少し砲台になっていて、海外のコースに多いような、そういうプレッシャーは前よりも高まっています。あと、バンカーの位置がかなり効いてきたかな。ピンの位置によって打ってはいけないところがはっきりとしてきましたね」(藤田)
藤田は、「元の設計を大事にしながらうまく取り入れて日本ツアーのレベルを上げるようなコースになっていると思います」と言う。また、“VISA太平洋”といえば名物は18番池がらみの美しいパー5だが、このホールは池がグリーン右奥に伸び、さらに左のバンカーもグリーンに近づいたことで、従来以上にスリリングな展開が見られそう。
松山英樹のプレーに注目が集まるが、松山英樹が監修したコースにも、注目だ。