チッパーといえばアプローチが苦手なゴルファーのための“お助けクラブ”といった印象を持つ方が多いだろう。それを覆す勢いの“新種”チッパーと言うべきクラブが、ジェイド・アドラー「Think Chip Wedge」だ。
大きな特徴として挙げられるのは、従来のチッパーよりもロフト角が大きいこと。50・55度の2種がラインナップされており、ロフト的にはサンドウェッジ並。チッパーのヘッド形状と立ったロフトによって転がし性能だけでなくボールの高さや飛距離も両立しているのだ。今回は55度のものを試打した。
さっそくThink Chip Wedgeを手に取る堀口。構えた印象は「(クラブの)長さも(通常の)チッパーと比べると少し長めですね。めっちゃアップライト」というもの。そのまま軽めに打つ。
「打ちやすい。滑りますねコレ。高さも出てます」(堀口)
その様子を後ろから見ていたもう一人の試打者・中村が「(堀口の)構えを見ると、ボールの近くでアップライトに構えてますよね」と指摘。すると「クラブ通りに構えようとすると、アップライトに構えたくなる設定になってます。だからボールの下に入ってくれるし、体を使わずに手だけで打っても普通に抜けていきそうです」と堀口。
実際、その構え方はウェッジというよりもむしろパターのよう。実は堀口、過去にアプローチイップスにかかったことがある。当時は体を一切動かさず手だけで打つ方法なども試したというが、そのような手打ちで打ってみても、ボールは難なく上がってくれた。
続いて、もう一人の試打者・中村も試打。
「ボールの下に入っていってくれますね。(ボールの)上から入れたりだとか考えずに、そのまま打てばボールだけを拾って上げてくれる、という印象です」(中村)
そう語る中村が注目したのはネック部分。
「(ネックを見てみると)そんなにグースネックになっているわけではないんです。にもかかわらず、ボールを拾うことに特化している感じがしますね」(中村)
ボールを「拾える」出っ歯系ウェッジの良さと、リーディングエッジが刺さらないグースネックウェッジの良さをうまくいいとこ取りしているという。
しばらく打つうちに、「もうちょっと大きく打ってみますね」と今までよりも大きなスウィングで一打。キャリー79ヤード、総飛距離82ヤードと、サンドウェッジで打ったような高めのアプローチショットが飛び出た。
「55度の飛距離が普通に打てますね。アップライトですが引っかかる感じもないし、高さもちゃんと出ています。スピン量も6747回転と、しっかり止まってくれそうな数値ですね」(中村)
アプローチに特化した性能故に他のクラブとの兼ね合いが難しいチッパーだが、Think Chip Wedgeは単なる“お助けクラブ”に留まらない性能を実現している、ということだ。
「これだけロフトがあって普通のウェッジとしても使えて、なおかつチッパーの良さを兼ね備えているので、簡単にスピンが効いたプロみたいなアプローチができます。グリーン周りでダフったりトップしてしまう方、アプローチイップスだったり苦手意識がある方にぜひ試してもらいたい一本です」(中村)
協力/PGST