いまいちパッとしなかった2018年の終わりを勝利で飾った
ギリギリまで出場を悩んでいたマット・クーチャー(40歳)が、マヤコバゴルフクラシック(メキシコ)で4年ぶりに優勝。ツアー8勝目を挙げた。
2018年シーズンは思い通りにことが進まない1年だった、と振り返るクーチャー。2007年以来初めてフェデックスカップランキングでトップ70に入れず、10年間出場していたライダーカップにも出場できなかった。2014年RBCヘリテイジ以来優勝から見放されており、前週のラスベガスの試合でも57位タイと新しいシーズンを迎えても今ひとつ振るわない成績だった。
だが、ここで転機が訪れた。エースキャディのジョン・ウッドがもともと別の予定を入れていたため、マヤコバに行くかどうか最後まで思い悩んでいた彼が、「よし、行こう!」と、現地のローカルキャディを雇ってプレーすることに決めた。
このローカルキャディ、開催コースのエル・カマレオンGCに雇われているデビッドという人物で、彼は今大会の予選会に出場するメキシコ人のローカルプロを担いで優勝させ、見事本戦出場へと導いた優秀なキャディ。初日からノーボギーの64という好スコアを叩き出したクーチャをうまくサポートし続けた。
マヤコバはゴルフリゾート内にあり、家族連れで訪れていた彼は「今週は仕事しながらバケーション
も楽しんでいるような週だね」というようにその場所自体がリラックスできる環境にも恵まれた。
ダニー・リーを1打差で抑えて115試合ぶりに優勝できたクーチャーは満面の笑みを浮かべながら「優勝できて、オラ(スペイン語でこんにちはの意)からアロハ(1月初旬のハワイで開催される、優勝者のみが出場できるセントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ)へ行ける。もう待ちきれないね。とても楽しみだよ」と語った。
ツアーで1、2を争うナイスガイとして知られるマット・クーチャー。私が話を聞きたい時も、いつもニコニコ接してくれ、話をきちんと聞いてくれるジェントルマンだ。学生時代はとても感情の起伏が激しいゴルファーだったそうだが、その態度を母親にたしなめられ、常にニコニコするように心がけたという。
また、ベテランプロたちがメジャーやWGCイベントを中心に試合数を制限しながら出場しているのに対し、レギュラーツアーにもほとんど毎週のように出場するタフガイでもある。
彼が2017年の全英オープンでジョーダン・スピースと最終組で優勝争いをしていた時、スピースが13番ホールで大トラブルに見舞われた。だが、約30分もかけてリカバリーショットを放ったスピースが最後に優勝したことに対し、何も恨みがましいことも言わず勝者を称えた姿がとても潔く印象的だったのを思い出す。
アテスト小屋付近で待ち構えていた子供が、悔し泣きを始めたのをなだめていたクーチャー。自分自身も泣きたい心境だったかもしれないが、父親として精一杯の対応をしていたのを見て、いつか彼がメジャーで優勝して、家族全員が笑顔になる日がくればいいな、と思った。
まずは1勝……そして来年のメジャーでは優勝争いしているクーチャーがいてほしい、と心から願う。