いよいよ欧州ツアーも最終戦。年間王者はフランチェスコ・モリナリとトミー・フリートウッドの二人に絞られたが、この試合に日本人初の2年連続を果たす谷原秀人にも注目だ。ツアー通算9勝の佐藤信人が、欧州ツアーのクライマックスを分析する。

ランク上位60名だけが出場できる試合に谷原が挑む

今週の欧州ツアーはDPワールド・ツアーチャンピオンシップ・ドバイです。30の国と地域を廻ってきた欧州ツアーは今週が最終戦で、ランキング上位60名だけが出場出来る大会です。

17-18シーズンは13人の初優勝者が誕生し、ここまでの46戦中20代プレーヤーの優勝が28回と6割を超えました。40代の優勝はフィル・ミケルソンとリー・ウエストウッドのふたりだけ。シード選手の入れ替えも激しさを増し、着実に世代交代が進んだ印象のシーズンです。

今週金曜日に40歳の誕生日を迎える谷原秀人選手が2年連続でツアーチャンピオンシップに進んでいます。日本人プレーヤーとしては1998年に友利勝良選手が最終戦(当時はボルボ・マスターズ)に進んだことがありますが、2年連続出場は日本人としては初の快挙です。昨年はメジャー4試合、WGC4試合に加えて日本ツアー、PGAツアー、欧州ツアーと世界中を飛び回ってた印象ですが、今年はドバイに拠点も持ち、他ツアーに参加することなく欧州ツアーにじっくりと腰を据えて戦いました。

画像: 欧州ツアー最終戦に日本人初の2年連続出場となる谷原秀人(写真は2018年の全英オープン)

欧州ツアー最終戦に日本人初の2年連続出場となる谷原秀人(写真は2018年の全英オープン)

KLMオープンの3位をはじめトップ10に5回入りました。本人的にはワールドランキングが下がったことやメジャー出場が全英オープンだけだったことなど不満はあると推測しますが、過酷な欧州ツアーで1年間フルに戦い、最終戦まで駒を進めたことに心から敬意を表したいと思います。またすぐ始まる新シーズンに向けて気持ち良く最終戦を締めくくって欲しいと願っています。

レース・トゥー・ドバイ年間王者の行方は2人に絞られました。トップを行くのが今年イタリア人初のメジャーチャンピオンになったフランチェスコ・モリナリ。前半は目立った成績はありませんでしたが、5月欧州ツアーのBMW選手権を勝ったところから凄まじいシーズンになっていきました。BMW選手権、クイッケンローンズ・ナショナル(PGAツアー)、全英オープンと2ヶ月の間に3勝し、3大会ぶりに出場したライダーカップでは5戦全マッチで勝利して英雄になりました。

画像: ライダーカップではモリナリ(左)とフリートウッド(右)のコンビでブレイク(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権)

ライダーカップではモリナリ(左)とフリートウッド(右)のコンビでブレイク(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権)

今大会は2009年から毎年出場しており、トップ10に4回入っています。開催コースのジュメイラ・ゴルフ・エステーツは7,675ヤードでロングヒッター有利のコースと言われています。モリナリはかつては飛距離はないが正確性が高いという選手でしたが、今では平均300ヤードを超えるロングヒッターに成長しています。元々相性は悪くないコースで飛距離を持ったモリナリが最後に有終の美を飾れるか注目です。

レースを追いかけるフリートウッドは最低でも優勝が必要です。モリナリが2人の5位タイ以内に入れば逆転のチャンスはなくなりますが、2年連続の年間王者を目指して戦います。今年のフリートウッドは1月にアブダビ選手権を連覇。初めてフル参戦したPGAツアーでも春先から安定した戦いで存在感を示しました。

全米オープンでは最終日に最終組の2時間以上前にスタートしながら63をマークし1打差の2位に入りました。初めて出たライダーカップではモリナリとのコンビでブレイクしました。大会前の会見を聞いていると、年間王者の勲章は昨年すでに手にしたのでそれほど興味はないといった雰囲気。今年はとにかくモリナリの年だったから彼に年間王者に取って欲しいというような内容でした。

昨年は初日から年間王者に対する緊張感が凄かったと言っていて21位タイというフィニッシュでしたが、今年は変な緊張感がなく気楽に戦うことが良い作用をする可能性があります。ライダーカップで友情を深めたふたりの激しいバトルを期待しています。

撮影/姉崎正

画像: 全英オープンを制した男・モリナリの風に負けないスウィングを見てみよう【スウィング大辞典】 youtu.be

全英オープンを制した男・モリナリの風に負けないスウィングを見てみよう【スウィング大辞典】

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