日米両ツアーを兼ねて行われる「TOTOジャパンクラシック」で逆転優勝を飾った畑岡奈紗。今季、6月に「アーカンソー選手権」で米ツアー初優勝を飾っているが、それ以来の2勝目を遂げた。
そんな彼女を、LPGAツアーの選手たちはどのように見ているのだろうか? 特に畑岡同様、ジュニア時代から注目を集め、現在LPGAツアーで大活躍しているリディア・コーとレキシー・トンプソンに話を聞いてみた。
元世界ランク1位で、ジュニア時代から数々のタイトルを総なめしてきたメジャー2勝、ツアー通算15勝のリディア・コーは畑岡の強さを次のように分析する。
「今年のハナバンク選手権で初めて一緒にプレーしたけど、すばらしい選手だと思ったわ。バーディを獲っても舞い上がるわけでもなく、ボギーを叩いても落ち込むことのないメンタル面での安定感がある。いつも冷静で、ニコニコしているわね。それにパッティング、とくにショートパットがとてもいいと思う。パットは自信がすべてだけど、彼女は自信を持ってパッティングしている。アイ(宮里藍)とは違うプレースタイルで、アイはそれほど飛距離が出る方ではなかったけど、ショートゲームがとてもうまかった。ナサは飛ばし屋で、しかも自信を持ってプレーしている。二人ともそれぞれ特徴があって、日本のゴルフ界を牽引するような存在だけど、今回ナサはホームで注目を集める中、優勝できた。これってけっこう難しいことよ。優勝二人に共通するのは、彼女たちと話をするととても心が落ち着くし、ポジティブなエネルギーをもらえるの。とてもいい人たちよね」
一方、12歳から全米女子オープンに出場し、現在メジャー1勝、ツアー通算9勝を挙げているレキシー・トンプソンは畑岡奈紗の初優勝の試合で一緒にプレーしているが、次のように語っている。
「ティショットも飛ぶし、曲がらないわね。素晴らしい選手よ。ナサより私の方が20〜30ヤードくらい飛ぶけど、彼女は曲がらないからまったく問題ないわ。自分のやってきたことを、今後もやり続ければいいんじゃないかしら」
リディア・コーも認める通り、もともとパットが得意な畑岡だが、昨年と今年のスタッツを比較してみると(2018年11月10日現在)、
平均飛距離は85位(251.12Y)から40位(258.25Y)、フェアウェイキープ率は150位(60.70%) から45位(70.98%)、パーオン率は152位(60.66%)からやはり45位(70.08%)と、ショット力の改善が、今季の好調を支えているといっていいだろう。
と圧倒的にショット力が上がっている。飛距離も約7ヤード伸びているほか、フェアウェイキープ率とパーオン率が10%ずつ上がっているが、ショット力の改善が、今季の好調を支えているといっていいだろう。
ショットはいいが、パットが入らないと悩むプロも多い中、彼女はもともと優れたパッティングセンスを持っている。さらにショット力を磨けば、宮里藍に次ぐ日本人選手による世界ランク1位も近い将来夢ではないだろう。Race to CME Globe(年間女王争い)は世界ランク1位で現在1位のアリヤ・ジュタヌガーンがこのまま優勝を決めると思われるが、畑岡も現在4位。
今週開催される今季最終戦の「CMEグループ・ツアー選手権」で有終の美を飾り、少しでも上位で今季を締めくくって欲しい。