「99.9%左にはミスしない」
ゴルフにおいてマネジメントというのは練習場からすでに始まっている。そこへの意識の違いで非常に大きな差がうまれるのだ。ゴルフに対する正しい理解が正しい取り組みを生むのだが、その点がしっかりしているのが米ツアーをトップで戦う選手たちである。
国内男子ツアーの練習風景の中に、その点で際立っていた選手がいた。2018年11月15日現在賞金ランキング2位のショーン・ノリス選手だ。彼の放つ球筋には本当に驚かされたというか、感銘を受けた。
アドレスからは到底想定できないほど右に飛び出していくボールは、その後、更に右に少したれていく。はじめはミスショットを連発しているのかと思ったが、しばらく見ていてそれが意図的であること、そしてそれが彼のスタイルであることがわかった。
その後、本人とキャディにその意図も確認したのだが、やはりとにかく左にミスをしない、ミスの方向を限定するというスウィング作り、マネージメントを練習場から徹底的に確認していたのだ。そして、その調整の多くは短いアイアンで行われ、その後クラブを上げていき、ドライバーで確認したのは、なんと3球だった。
その日ノリス選手が左にミスしたのは0球。100%、左にミスをしなかったのだ。そしてキャディも99.9%左にはミスしないと言い切っていた。私も常にミスの方向を限定すること(右に限定するほうが理想的)がマネージメントの基本だと書いてきているが、それを徹底していたのがノリス選手だった。
ただ、右にミスできない場合はどうするのか? という質問に対しては、基本左に向く度合いを強くして対処、といっており、それだけではコース設計が合わない場合(左ドッグレッグが多い場合など)にバーディを取るのが難しくなるので、優勝争いするにはコースとの相性が重要になって来てしまう。ノリス選手の次の課題はそこなのだろう。
ただ、できることを確実にやり、やれないことはやれないと認めるという潔さはゴルフにおいて非常に重要な要素。プロはもちろんのこと、アマチュアにも非常に参考になるロールモデルだ。
練習場で自分がミスをする方向の傾向を把握すること。そして意識的に傾向を作っていくことが、本当の意味でのスウィング作り。それを認識することがスコアアップにつながり、より練習も楽しくなり、ラウンドも楽しくなるだろう。
撮影/有原裕晶