勝みなみがついにプロ初優勝を飾った。15歳293日でセンセーショナルなアマチュア優勝をKKT杯バ
ンテリンレディスで飾ってから4年以上。周囲も本人も待ちに待った瞬間だった。一方米ツアーでは同級生の畑岡奈紗が最終戦でもトップ10(単独9位)に入り年間ポイントランク4位の好成績を挙げた。彼女たちが引っ張る黄金世代の背中を追いかけ、すでに女子の世界ではプラチナ世代が始動している。

終始笑顔の2勝目だった。大量リードに守られたこともあり「最終組でプレーすることが楽しみで仕方なかった」と勝本人がいうように緊張、必死、悲壮感が皆無な優勝劇だった。

画像: 大王製紙エリエールでついにプロ初優勝を飾った(写真は2018年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

大王製紙エリエールでついにプロ初優勝を飾った(写真は2018年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメント 撮影/大澤進二)

「(ツアー2勝目が)こんなに遅くなるとは思っていなかった」(勝)。

もちろん観ている我々も思っていなかった。勝てなかった4年の間にライバルたちが次々ウィナーズサークルに立ちスポットライトを浴びた。「わたしはわたし」と割り切ってはいたが忸怩たる思いがあったに違いない。だが大王製紙エリエールレディスで掴んだ1勝で勝には中学生のとき以来の再ブレイクを果たす予感が漂っている。

その視線の先には世界ランク6位の畑岡がいる。今季の畑岡の活躍は目覚しいものがあった。6月のウォルマートNWアーカンソーで初優勝すると日本で開催されたTOTOジャパンクラシックで2勝目。
トップ10入り11回を数え賞金ランクもトップ5に入った。

画像: 米女子ツアーで2勝目を挙げる畑岡は世界ランク6位(写真は2018年のTOTOジャパンクラシック  撮影/岡沢裕行)

米女子ツアーで2勝目を挙げる畑岡は世界ランク6位(写真は2018年のTOTOジャパンクラシック  撮影/岡沢裕行)

最終戦のCMEグループツアー選手権開催中に行われた年間表彰式ではロレックスファーストタイムウィナー(ツアー初優勝者)のひとりとして壇上に上がり盛大な拍手を浴びた。

そして黄金世代と呼ばれる勝や畑岡の華々しい活躍に刺激を受けているのが2000年生まれを中心とした“プラチナ世代”だ。彼女たちが意識しているのは開催まで2年を切った東京オリンピックがある。

自国開催の五輪出場は選手たちにとって大きな夢。それを叶えるには世界ランキング上位2名に入らなければならない。いま五輪が開催されればランキング最上位の畑岡と日本勢2位の鈴木愛が出場することになるが、2年後はまったく違う状況になっているかもしれない。

米女子ツアーのファイナルQT(最終予選会)で36位に入り45位までに与えられる来季のシード権を獲得した18歳の高校生・山口すず夏は五輪出場の切符を掴むためアメリカで戦うことを決めた。

画像: オリンピックで金メダルを獲りたいという夢を抱く山口すず夏(写真は2017年の日本女子アマチュア選手権 撮影/大澤進二)

オリンピックで金メダルを獲りたいという夢を抱く山口すず夏(写真は2017年の日本女子アマチュア選手権 撮影/大澤進二)

国内ツアーはこれまでプロ資格がなくてもQT(予選会)を受験し上位に入ればツアーに出場することが可能だったが、規約が改訂されプロテストに合格しなければQTに出場できなくなる。高校3年の山口が国内ツアーに参戦できるのは最短で再来年。五輪出場のポイントランクを稼ぐ時間がない。

そこで渡米し、米女子ツアーの試合でポイントを稼いで「五輪出場への道」を山口は模索するという。畑岡でさえ昨年のデビューイヤーは予選落ちの山を築きシードさえ獲れなかった。だが「オリンピックで金メダルが獲りたい」という彼女の夢は揺るがない。

エリエールで最終日最終組をプレーし7位タイに入った上野菜々子も山口と同じ2000年生まれ。オリンピックという希望の舞台が少女たちを強く逞しくする。

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