“2インチのたわみ”がインパクトでの逆しなりを生む
自分のスウィングに合ったシャフトを使うと、飛距離が伸びたり、曲がりが抑えられたりする。そのような認識を持っているゴルファーは少なくない。だが、合うシャフトの“基準”は? と問われたら、意外と答えられないのではないだろうか。
ジェイソン・デイのクラブをフィッティングしているジョン・シンクレアは言う。
「インパクトではシャフトは逆しなりを起こすことが大切です。そうするとロフトが増えて打ち出し角度が高くなるし、シャフトのしなりを最大限に使えて、ヘッドスピードも速くなりますから。その基準はトップで2インチ(約5センチ)たわむくらい。アマチュアゴルファーの場合、オーバースペックになっているケースが多いと思いますよ」
トップでシャフトはしなり過ぎてもタイミングが合わせにくいし、しなりがなければヘッドスピードが上がらない。適正なのが2インチ、というわけだ。
また、シンクレアによると、シャフトによってインパクトのタイミングは大きく変わり、当然ながらスウィングへの影響も大きいという。「ギアーズ(3Dモーションキャプチャー)」という機器で計測すると、ドライバーの場合シャフトによってインパクトの位置が4インチ(約10センチ!)変わることもあるんだとか。
ナイスショットを生むために必要なシャフトのしなりだが、アマチュアの場合、オーバースペックなシャフトを使うことで、それが作れていないというケースが少なくないようだ。
「ドライバーでアイアンのようにダウンブローでインパクトを迎え、テンプラやスピン量の多いスライスを打っているゴルファーは、シャフトの逆しなりを使えていない場合が多い。これは、シャフトが硬すぎて、切り返しでシャフトのたわみを作れていないからです」
そうシンクレアは指摘する。切り返しで“2インチのたわみ”を作ることにより、インパクトでは逆しなりを作ることができ、入射角がレベルからアッパー軌道になることで、打ち出し角やスピン量も適正になるのだという。
最近では量販店の試打スペースでもヘッドスピード、バックスピン量、ダイナミックロフト(インパクト時のロフト角)、クラブの入射角といったデータを計測できるお店も増えている。
色々な種類のシャフトを打ち比べて、ヘッドスピード、打ち出し角、バックスピン量がどう変わるのか試してみると飛距離アップにつながるのは間違いないないようだ。
取材協力/PGST