2年に1度、米国対世界選抜チームによる「プレジデンツカップ」が開催される。次回の大会からは従来の2年間に渡るポイントシステムから、1年間のポイントシステムに変更するという。また、日本人が副キャプテンに推薦される可能性も?海外取材豊富の元ゴルフ編集長が語る。

2年に1度の米国対世界選抜チームによるゴルフの祭典「プレジデンツカップ」。米国から12人、欧州を除く世界から12人を選抜して戦う対抗戦で、2年に1度の「ライダーカップ」と同様の形式で行われるが、来年の12月にはオーストラリア・ロイヤルメルボルンで開催されることになっている。

この地は1998年に丸山茂樹が5戦5勝を挙げて、今年6月に亡くなったピーター・トムソン主将率いる世界選抜チームが過去13回のうち唯一の勝利を挙げている特別な場所だ。次回14回大会の世界選抜チームのキャプテンは、来年50歳を迎え、シニア入りするアーニー・エルスが務めることとなっている。

画像: 来年12月に開催されるプレジテンツカップ。世界選抜チームのキャプテンはアーニー・エルス(右)が務めることになった

来年12月に開催されるプレジテンツカップ。世界選抜チームのキャプテンはアーニー・エルス(右)が務めることになった

先日ワールドカップが行われたメルボルン郊外のメトロポリタンCCにエルスが来場し、来年のプレジデンツカップに関する展望を語った。

「我々は10〜12カ国の選手たちを集めることになるだろうね。メキシコからは先週のオーストラリアンオープンで優勝したエイブラハム・アンサーもいるし、チリのホアキン・ニーマンと一緒にRSMクラシックで回った。アルゼンチン、ベネズエラ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国、日本、タイ、マレーシア、カナダもある。今はゴルフ界も変わってきていて、若い世代の選手たちが世界中のいろいろなところから出てきて活躍している。彼らをチームに迎え入れるのをとても楽しみにしているのと同時に、昔馴染みの顔も入れたい。そして優勝カップを取りに行きたいね」

現在インターナショナルランク52位であり、過去世界ランク1位を経験したこともあるアダム・スコットについては

「彼はキャプテン推薦のリストの中でもトップにいる選手だ。チーム全体のモチベーションを高めてくれるし、コースマネジメントの話もしてくれる。今年は彼も調子がいいようだし、間違いなく彼はチーム入りするだろう」

画像: キャプテン選抜が従来の2人から4人に増えることで、キャプテンの“色”がより出せるようになった。今年のW杯出場メンバーと談笑するエルス

キャプテン選抜が従来の2人から4人に増えることで、キャプテンの“色”がより出せるようになった。今年のW杯出場メンバーと談笑するエルス

また、米国チームが自国のために米国の国旗とプライドに向き合うのは容易だと感じていたエルスは、様々な国を代表する世界選抜チームのために個々の国旗をあしらったロゴを作成した。そして9月末にフランスで行われたライダーカップを見て、応援してくれるファンたちの存在が勝利のカギを握ると感じている。

「世界選抜チームは世界中の国から集められた特別な集団。世界各国からくるので、1つの国のために戦うわけではない。だから何か一体感を出すための何かが必要だったんだ。チームの士気を高めるためにも我々のためのロゴが必要だと感じた。それと今回は(自分たちを応援してくれる)ゴルフファンたちが欲しい。ライダーカップの1番ティのギャラリーたちの声援は素晴らしかったからね。それに時差ボケを解消するためにも、プレジデンツカップの週にギリギリのタイミングで入ってくるのではなく、少し前にはオーストラリア入りをして欲しい。できればオーストラリアンオープンなどに出て、時差ボケを解消し、調子を上げてから出て欲しいね」

画像: 世界選抜チームの応援団「ファナティックス 」も駆けつけ、レセプションを盛り上げた

世界選抜チームの応援団「ファナティックス 」も駆けつけ、レセプションを盛り上げた

前回、リバティナショナル(ニューヨーク)で行われたプレジデンツカップの後で、世界選抜チーム主将のアーニー・エルス、米国主将のタイガー・ウッズ、PGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハンと三人だけでミーティングを行い、より良い大会を行うにはどのようにしたらいいのか徹底的に話しあったという。

それにより次回の大会からは従来の2年間に渡るポイントシステムから、1年間のポイントシステムに変更し、10人の選手(世界ランク順)+キャプテン推薦2人という選び方から、8人の選手(世界ランク順)+キャプテン推薦4人を選ぶという方式に変わった。

こうすることで、最近活躍している選手をチームに加えやすくなり、推薦が2人から4人に増えることで、キャプテンの思惑をより反映したメンバーを選ぶことができるようになった。現在、世界選抜チームのランキングを見てみると、トップ8の中に日本人は松山英樹(6位)、今平周吾(8位)の2人が入っている。

そして9位には日本オープンチャンピオンの稲森佑貴がつけているのだ。つまりトップ10に現在、3人の日本人がランクインしている。

画像: 松山英樹(左)は6位、今平周吾(右)は8位と世界選抜入りの基準となる8位以内に現時点ではランクインしているしている

松山英樹(左)は6位、今平周吾(右)は8位と世界選抜入りの基準となる8位以内に現時点ではランクインしているしている

また、50位以内まで幅を広げて見てみると、15位市原弘大、16位池田勇太、23位木下裕太、24位岩田寛、33位川村昌弘、34位額賀辰徳、36位片岡大育、37位星野陸也、38位藤本佳則、42位谷原秀人、49位時松隆光と日本人が14人も入っている。

一方、米ツアー1勝を挙げた小平智は113位と、なんと100位以内にも入っていないのは意外だ。これを見てもいかに米ツアーという強者どもが集まる環境で優勝しても、ポイントがなかなか稼げないことがわかる。

日本で好成績を収めていた方が、世界ランクポイントを稼ぎやすく、メジャーやプレジデンツカップといった国際大会に出場する権利を獲得しやすいのは明らかだ。現在、欧州ツアーで戦う谷原秀人も「日本は(獲得できる)ポイントが多すぎる」と漏らしているが、それはさておき、世界ランクによるメンバーが決定する来年の8月下旬の段階で、いったい日本人が何人ランクインしているかが見ものである。

そしてもし、日本人が多数メンバー入りできる資格を有しているとしたら、エルスのいう「選手のために食事のことなども含め、プレーしやすい環境を整えてやりたい」という意向を叶えるために、プレジデンツカップでの経験が豊かな、あの男が2013年のプレジデンツカップ以来、再び副キャプテンとして呼ばれる可能性もある。

そう、98年大会で5戦5勝を挙げ、MVPに輝いた丸山茂樹だ。エルスも「シゲキはオーストラリアのゴルフファンたちにすごく愛されていたし、彼は満面の笑みを浮かべながら、グリーン上のどこからでもカップに沈めてきた。『笑顔の暗殺者』なんて呼ばれていたけど、彼はまさしくそんな人間だよ」

画像: インターナショナルチームのロゴが刻まれたキャディバッグ。出場選手の自国のロゴが入ることで、選手の意識も高まりそう

インターナショナルチームのロゴが刻まれたキャディバッグ。出場選手の自国のロゴが入ることで、選手の意識も高まりそう

エルスは、記者会見の最後をこうして丸山の話で締めくくっていたが、同級生の丸山の存在感も十分認識している。記者会見を終えたエルスに、「丸山をまた副キャプテンにしたらどう?」とプッシュしてみたが、果たしてそれが実現できるかどうか。唯一世界選抜が優勝したロイヤルメルボルン大会から早20年。そろそろ2勝目が欲しいところである。

This article is a sponsored article by
''.