パーオンは3回に1回でいい。寄せワンも2、3回に1回でOK
ハンディキャップ5下ということは、平均スコアは70台。今回取材した5下シングルさん(仮にシングルA氏としておこう)にも、「常に70台でプレーする」ということが念頭にあるという。
いわゆるアベレージゴルファーと呼ばれるゴルファーの平均スコアが90台だとすれば、平均で20打も違いがある。もちろんその違いは腕前の違いによるところが大きいわけだが、実際は考え方も異なるとシングルA氏は指摘する。
「よく言われる話なんですが、スコアが出る・出ないの差はアプローチの差。シングルとは、3回に1回寄せワンが取れ、残りの2回をきっちりボギーで上がれる人のことですし、それで70台のスコアも出せます」
3回に1回の寄せワンで70台が出せるというとちょっと意外な気がするが、シングルAさんの説明はこうだ。
「シングルでもパーオン率は40%を切るくらいなもの。18かける0.4は7.2ですから、仮に7ホールパーオンし、それがすべてパーでホールアウトできたとしましょうか。残りは11ホールで、そのうちの1/3ですから4ホール寄せワンに成功したとします。残りが全部ボギーだったとして、スコアは79なんです。寄せワンではなく“寄せ1.5”くらいの気持ちで、70台は出せるわけです」
パーオン率は38%。寄せワン成功率は36%。パット数は32、バーディ数はゼロ……たいして見栄えが良くないスタッツなのにスコアは夢の79! なんだか錬金術のようだが、当然条件がある。
「さっきの仮定を裏返すと、要するにダボはダメってことなんです。なので、条件はティショット、セカンドで“死なない”こと。打った瞬間ダボ以上が確定するOBを打ったら基本的に70台は出せません。よく池やバンカーを気にしてOBまで曲げる人を見かけますが、『バンカーに入れようよ!』って思います。バンカーにペナルティはありませんから」
70台のスコアとは、11個のパーと7つのボギーで構成されるスコア。仮にバーディがくれば、ボギーの数は8まで増やせる。一方、ダブルボギーを叩けば、あと許されるボギーの数はわずかに5つ。非常に苦しい展開となるわけだ。そして、バーディは計算できないが、ダボを極力防ぐことはできる。
「ドライバーで飛ばす必要もなければ、フェアウェイをキープする必要性もたいして高くありませんし、バンカーに入れても次で出せれば問題ありません。アプローチでは2、3回に1回パーがとれる“寄せ1.5”で100点満点。基本的にはワンピンどころか2パット圏内の6メートル以内に収められれば十分です。ただし、OBだけはダメ。全力で防ぐ。これが、70台を出すための基本戦略です」
実際にそうやって70台を連発しているシングルA氏の言葉を聞くと、なんだか自分にもできそうな気になってくるから不思議。上級者とアベレージゴルファーを分かつのは、実は腕前よりも考え方なのかも。
※2018年12月3日18時53分、一部内容を修正しました