スピン系とディスタンス系の違い、正しく知ってる?
こんにちは。ギアオタク店長の小倉です。今日はボールについてお話したいと思います。ゴルフボールは大きく分けて2タイプに分けられます。プロや上級者が好むスピン性能を高めた「スピン系」。アベレージゴルファーの需要に合わせてコントロールよりも飛距離を重視した「ディスタンス系」です。この2タイプ。具体的には何が変わって弾道にどんな影響を及ぼすのでしょうか。その辺をお話したいと思います。
まずはスピン系から。ゴルフボールにとってスピンは、弾道を制御するのにとても重要な項目です。このスピン量を素材や製法を変えることで性能に変化をつけています。スピン系ボールは、ヘッドスピードの遅いインパクトのときにバックスピンが入りやすいように設計されています。ちょっと誤解を招きそうな言い方ですが、具体的なショットに当てはめるとミドルアイアンからショートアイアン、アプローチなどになります。
つまりグリーンを狙うショット時のボールコントロール性能を重視して作られているのです。また昨今のスピン系ボールはヘッドスピードの速いインパクト、つまりドライバーなど長いクラブの時は、できるだけ余計なスピンが掛からないようになっています。とはいえ、ある程度弾道をコントロールするためにスピンがあえて入るように作られているので、悪く言えば「曲がる」。よく言えば「曲げられる」性能を有したボールと言えるでしょう。
次にディスタンス系。ゴルフで最大の飛距離を得るには、打ち出し角、スピン量、ボール初速の3つの項目のバランスがとても重要になります。この3つの項目のうち、アベレージゴルファーの多くが悩まされているのが、スピンが増えすぎてしまうこと。
スピンが増えすぎてしまうとボールが空中で浮こうとする力が強くなりすぎてしまい、いわゆる吹き上がってしまう弾道になるのです。ディスタンス系のボールはスピン量をギリギリまで減らすことで吹き上がりを抑えて前に飛ぶ弾道を得やすくするように設計されているので、飛距離が得やすくなるというわけです。
「飛距離が欲しいからディスタンス系」は必ずしも正解ではない
では飛距離が欲しい人がディスタンス系、ボールをコントロールしたい方はスピン系を使えば良いのかというと、実はすべてが当てはまるわけではありません。ディスタンス系のボールはスピンを減らす方向に設計されているボール。昨今では低スピン性能の高いヘッドがたくさん市販されていることもあり、飛ばない理由がすべてスピン過多であるわけではありません。
もともとスピンが少ない状態にディスタンス系ボールを使用すると、さらにスピンが減って浮揚する力が不足し、早く落下してしまう、つまりドロップしてしまいます。そうなっては飛距離が伸びるどころか、余計飛ばなくなってしまうのです。
スピン系のボールはどうかというと、前記しましたが、弾道をコントロールするにはある程度スピンが必要です。なのでミスしたときはスピンが入りやすくなり、ディスタンス系と比べると明らかに曲がりが大きくなります。
テクニックを持っているゴルファーなら大きな問題にはならないかもしれませんが、調子が悪いときにごまかしがきかないアベレージゴルファーがスコアをまとめるにはかなり骨が折れるでしょう。
最近ではスピン系とディスタンス系の中間に位置する第3のボールが誕生し、徐々にシェアを伸ばしています。理由としてはまさにいいとこどりで、スピン系よりドライバーなど長いクラブの余計なスピンが掛かりにくいので弾道が曲がりにくく飛距離が得やすい。ディスタンス系よりショートアイアンのコントロールが効き、ある程度スピンもかけられるといった性能がアベレージゴルファーに良い結果をもたらしてくれるからでしょう。
アベレージゴルファーすべてに第3のボールが良いわけではありません。しっかり自分の症状を理解している人は、自分に合ったボールを選ぶべきです。ただ自分の求める弾道に対して、理由は解らないけど不満があるという方は第3のボールを使ってみることをおすすめします。100点は取れないかもしれませんが、バランスが良いので大外れとはならないはず。
個人的な分類ですが、第3のボールの代表的なモデルとしてブリヂストンゴルフのJGR、ダンロップのスリクソンX、タイトリストのプレステージ、ホンマゴルフのTW-Xなどですね。是非試してみてください。
撮影/三木崇徳