プロたちがぶつかり合うトーナメントでは、今年も様々なドラマが起こった。そこで、解説者として国内外35試合をその目で見届けた佐藤信人が「2018年心に残った1打」ベスト3を振り返ってみた。

2018年私自身の解説の仕事は全て終了しました。PGAツアー、欧州ツアー、日本ツアーにAbemaTV ツアーなど、放送席の解説や1番ホール中継からラウンドリポーターまで全て含めて35試合に携わらせていただきました。

2018年の日本ツアーでラウンドリポーターとして目の前で見た中で、今でも強烈に私の記憶に残っている3つの「2018年心に残った1打」を振り返りたいと思います。

【1】日本プロゴルフ選手権 最終日 谷口徹選手17番ホールのパーパット

前半は組全体的に会話が多めで和やかな雰囲気でまわっていました。16番を終えて藤本佳則選手が谷口徹選手に2打リード。終盤雨が強くなってきたこともあって、コースは難易度を増し、選手同士の会話も少なくなっていました。

17番は先に6メートルほどあったパーパットを藤本選手は打ちきれずショートしてボギー。一方谷口選手は5メートルのパーパットをど真ん中から強めのタッチで入れて1打差にしました。それまでの藤本選手の逃げ切りムードから藤本選手が見せた隙を見逃さず、谷口選手の目の色がガラッと変わった一瞬だと感じました。

画像: 5メートルのパーパットを決め、ガッツポーズを取る谷口徹(写真は2018年の日本プロゴルフ選手権 撮影/谷口徹)

5メートルのパーパットを決め、ガッツポーズを取る谷口徹(写真は2018年の日本プロゴルフ選手権 撮影/谷口徹)

その後は変わった流れをさらに加速させてプレーオフへと持ち込んで見事な50歳でのメジャー制覇となりました。17番ホールのパーパットは勝負師がここと判断して最高の集中力で最高のパットをして、勝負の流れをぐっと引き寄せた1打でした。見ていて鳥肌が立つような凄みを感じました。

【2】マイナビABCチャンピオンシップ 最終日プレーオフの木下裕太選手の2ndショット

最終日は終盤になって木下裕太選手と川村昌弘選手の一騎打ちの様相となりました。木下選手が2ホールを残して2打リードする展開。川村選手は難易度2位の難しい17番でバーディーを取って、18番もきっちりバーディーを取って追いつきプレーオフへと突入しました。

木下選手は優勝経験もなく、終盤追いつかれた流れもあり、前週に優勝争いをした川村選手に分があると予想したファンも多かったと思います。その中で木下選手がフェアウェイから打ったセカンドショットは逆光で私が立っていたところからはよく球が見えませんでした。

画像: プレーオフ2打目、逆光の中で振り切って見事勝利を掴んだ木下裕太(写真は2018年のマイナビABCチャンピオンシップ 撮影/姉崎正)

プレーオフ2打目、逆光の中で振り切って見事勝利を掴んだ木下裕太(写真は2018年のマイナビABCチャンピオンシップ 撮影/姉崎正)

インパクト音やフィニッシュが決まったことからある程度良いショットだったことはわかりましたが、数秒後ギャラリーの大歓声でスーパーショットになったことを知りました。イーグルパットをきっちりと決めて見事な初優勝。フェアウェイのど真ん中から逆光の中で振り切った木下選手のスイングと時間差で聞こえてきた歓声は今でもはっきりと残っています。

【3】日本シリーズJTカップ 最終日石川遼選手の72ホール目のバーディーパット

久しぶりの優勝に向けて好位置で迎えた最終日でしたが、出だしいきなりティーショットを曲げてダブルボギーという厳しいスタートになりました。その後ジワジワと盛り返し72ホール目決めれば優勝というパットが打てるとダブルボギーの後に予想出来た人は少なかったでしょう。

この下りのバーディパットは完璧なパットに見えました。グリーンサイドにいた私は完全に入ったと思いましたし、本人も入ったと思ったとラウンド後に言っていました。

画像: 石川自身「最高の集中力で打てた」というパット。惜しくも入らなかったが、来季につながる1打だった(写真は2018年の日本シリーズJTカップ 撮影/姉崎正)

石川自身「最高の集中力で打てた」というパット。惜しくも入らなかったが、来季につながる1打だった(写真は2018年の日本シリーズJTカップ 撮影/姉崎正)

スタジアムのような形になっている東京よみうりCCの18番ホールは歓声が一際大きく聞こえます。グリーンを取り囲んだギャラリーの歓喜に向かっていた大歓声が一瞬にして大きな溜息に変わったこのときの音量はおそらく今年の日本ツアーで1番大きかったのではと感じました。

その後3人のプレーオフになり小平選手が逆転優勝。最終日石川選手の組のラウンドリポートを任されて、素晴らしい試合を最前列で見せてもらいました。

改めて記憶に残る良い試合というのは選手の素晴らしいパフォーマンスとギャラリーの大歓声で作られるのだと再認識しました。

HONMA

This article is a sponsored article by
''.