ドライバーとアイアンを同じ流れで打ちたい
宮里優作選手のセッティングを見て一番目を引くのが260CCサイズのドライバーです。460CC全盛期の中で、それより200CCも小さいヘッドは3Wよりも小さく見えます。こんなに小さいとは飛ばないのでは? と思ってしまいますが、飛距離よりも精度を求めての変更で、小さいことでアイアンと同じスウィングで打てるというメリットがあるのだそうです。
ゴルフ日本シリーズJTカップの会場で、プロゴルファーの資格を持つブリヂストンスポーツのツアー担当・升川泰祐さんに話を聞いてみると、「ヘッドサイズは小さいですが、ネックの調整機能やソールの形状など最新の技術や理論を駆使して作っています。テストを重ねながら欧州ツアー開幕戦の香港オープンで実戦投入しさらに改良を重ねてゴルフ日本シリーズでも使用されました」と教えてくれました。
ここまで一人のプロの“専用モデル”という雰囲気のあるクラブは最近では非常に珍しく、年が明けて以降も使い続けるのか、注目です。460CCという大きさからアイアンとのスウィングのつながりに悩むプロは少なくなく、他の選手に飛び火する可能性もあると思います。
「飛距離よりは精度っていうところで小さいドライバーも試してます。(アイアンに関しては、)ヨネックスの風に強いアイアンを選んでます。去年いろいろ回ってきてセッティングを改めて考えてこうなりました」(宮里優作)
と本人が語ってくれたように、アイアンも新しいモデルを投入しています。シーズン途中まではピンのi200シリーズでしたが、ヨネックスの「EZONE CB 501 フォージド」にチェンジ。
宮里優作選手のゴルフは、ドライバーの飛距離もさることながらやはり持ち味は切れ味鋭いアイアンという印象が強いです。日本シリーズの練習ラウンドについて歩いたときにも、打ち上げや打ち下ろしの高低差のあるピンに向かって打つショットで抜群の距離感と方向性は天下一品。
しっかりとスピンコントロールされていてボール自らの意思でピンに向かって行っているような印象すら感じました。
このアイアンは芝種や地面の硬さ、風や空気の質を踏まえて球の高低やスピン量をコントロールしながら高い技術を駆使できるアイアンに仕上がっているようです。ややアップライトなスウィングでダウンブローに打つタイプなので重心位置が低すぎると打点が重心位置よりも上にずれてスピン量が安定しなくなります。そのあたりの調整がうまくいったのだと思います。
62度のウェッジを加えた3本体制も芝質やシビアなピン位置に対応するために短い距離の打ち分けを重視している現れです。世界に目を向ければ飛距離に勝るプレーヤーは数多く存在する中で、持ち味であるアイアンのキレとショートゲームの向上に優作スタイルを確立しようといることが見てとれます。
日本でも海外でも活躍する宮里優作の姿を来年はたくさん見られることでしょう。