「アイアンは契約して以来変えてない」
手嶋多一プロ、谷口徹プロなど、ベテラン選手には「これ!」と決めたクラブを長く使う選手がいますが、若手のなかで「変えない」選手の代表と言えそうなのが、重永亜斗夢選手です。一本のクラブに愛着を持って使い続けるというのですが、果たして実態はどうか。
まずはアイアンから見てみましょう。かなり打ち込んだために削られた跡が見えます。もはやソール形状が変わっているというレベル。クラフトマンが削ったのではなく実際に打っていく中で削れているため、もはや再現不能。変えられないのも理解できます。本人に聞いてみました。
「アイアンは契約した当初から何度も調整して、やっとうまくいってそれをずっと使っています。5年目になります。9番アイアンだけ溝がなくなったので変えました。打っているうちに地面に当たって削れてきて馴染んできたので変えられないですね。同じ形でも抜けや当たった時の感触がまったく違うので。段々当たってきて削れてきてやっと自分のものになっていくと思うから、バウンスの削れかたも当たるところが削れてなくなってきて初めて自分の感覚になる。その微妙な位置が打っていかないとわからないから」(重永)
![画像: 契約以来5年目になるキャロウェイXフォージドアイアン](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2018/12/26/98c3ee55e108e5980129bd8dab703fabb883d691_xlarge.jpg)
契約以来5年目になるキャロウェイXフォージドアイアン
契約以来変えずに5年目になるというのでこの削れ方にも納得しました。重永選手の場合、しっかりとダウンブローでボールをとらえるため、リーディングエッジとバウンスの形状によってクラブの”抜け”が変わってきますから、自分のものになるまで時間がかかることもうなずけます。それだけ長く使えるいいクラブだということも、当然あるでしょう。
![画像: ドライバーはエピックスター10.5度、ウッドが4本にアイアンは4番からPW、ウェッジは2本とロングゲームを重視したセッティング](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2018/12/26/10f148e3f066c02ca55b468152b3137dbb50638a_xlarge.jpg)
ドライバーはエピックスター10.5度、ウッドが4本にアイアンは4番からPW、ウェッジは2本とロングゲームを重視したセッティング
ウッドを見てみると、これまた長く使っていそうな3W(ビッグバーサアルファ816)が見えます。これも4、5年使っているそうで打感の軟らかさがお気に入り。さらに、使い慣れているため変えられないそうです。
ドライバーはエピックスターの10.5度。打出しが高くスピン量が少ないヘッドに少しスピン量を増やす方向のシャフトをセット(ツアーAD VR7のSフレックス)。操作性がよくてベストマッチしていると言います。セッティングの中では比較的新しいクラブと言えます。男子ツアーでエピックのアマチュア向けモデルである「スター」を使う選手は珍しいですね。
![画像: ドライバーのシャフトはツアーAD VR7のSフレックスを使用](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2018/12/26/cc54b3dfd233c0c98c80d51f6348ce0cdee67466_xlarge.jpg)
ドライバーのシャフトはツアーAD VR7のSフレックスを使用
5Wは入れずに3UTと4UTのウッド4本体制を敷いています。やや“上に厚い”セッティングです。その分、ウェッジは52度と58度の2本。2018年のデータを見ると、飛距離278.37ヤード(64位)と飛ぶほうではないところをウッドの4本体制でロングゲームをカバー。フェアウェイキープ率は10位、パーオン率も7位とショットメーカーである重永選手の大きな武器になっています。コースセッティングと自分のゴルフを照らし合わせて考え抜いたセッティングです。
![画像: 亜斗夢の名前の由来となった鉄腕アトムのイラストが入ったボールを使用する](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782728/rc/2018/12/26/cf3c82a6872cbb55fb7f51ac26527f1eb8f6876b_xlarge.jpg)
亜斗夢の名前の由来となった鉄腕アトムのイラストが入ったボールを使用する
最新のクラブも気になりますがプロが手放せないクラブを中古ショップで手に入れるのもゴルフの楽しみの一つ。掘り出し物に当たれば手放せないクラブが見つかるかもしれません。
写真/大泉英子