2018年の全英オープンを制し、世界ランク7位で2019年を迎えたイタリアのフランチェスコ・モリナリ。身長172センチと大男だらけの世界のトップゴルファーの中では圧倒的に小柄ながら、第一線で戦い続けている。そんなモリナリの14本がこちらだ。
1W:テーラーメイド M4(8.5度)
3W:テーラーメイド M3(13度)
5W:テーラーメイド M4ツアー(18度)
3I、4I:テーラーメイド P790
5-PW:テーラーメイド P750
50、56:テーラーメイド ミルドグラインド
ここにパターを加えた14本で戦うモリナリだが、彼のセッティングからアマチュアが参考にできる点はどこだろう。プロゴルファーでクラブフィッターの関雅史に解説してもらおう。
「まるで日本人プロのようなセッティングです。ドライバー、スプーン、クリークに、ユーティリティこそ入っていないものの、3番と4番アイアンは中空構造のモデル。5番以降もキャビティバックで、ウェッジは2本。極めてオーソドックスです」(関雅史、以下同)
お手本のようなセッティングだが、そこは世界のトップランカー。クラブセッティングを構築する上では、明確な意図があると関は指摘する。
「モリナリはどちらかといえばフェードヒッターだと思うんですが、ウッド類は13度のスプーンを筆頭に、ボールが上がりにくいセッティングにしています。おそらく、スピンを入れて球をフカすのは技術でできるんでしょう。クラブには、低スピンの棒球を打つのを手伝ってもらう、そんな意図が見えます」
フェードヒッターは、ボールを上げることを苦にしない。そのため、あとはクラブがスピンを減らしてくれさえすれば、十分な飛距離が得られる。上がりにくいという欠点を補って余りある低スピンの恩恵を受けられるからこそ、ロフト13度の3番ウッドをセッティングに加えられるというわけだ。
一方、矛盾するようだが「やさしいクラブを使いたい」という意図も見える。
「アイアンセットはキャビティ、3番、4番は中空。アイアンの傾向を維持しつつ、ミスへの強さは確保しています。ウェッジを50度、56度にしているのもいいですね。ロフトが立っている分、縦の距離が合わせやすいですから」
ピッチングの下を50度、56度の2本で揃え、その分“上”を厚くしたモリナリの14本。自分の球筋に合わせたロフト選び、基本的にはやさしさを求めるという姿勢。我々アマチュアも参考にしたい。
取材トーナメント/WGC HSBCチャンピオンズ 撮影/大泉英子