ゴルファーがスウィング中に体をどう動かしているかがわかる3Dモーションキャプチャーの「ギアーズ」、クラブや弾道の動きを解析できる「トラックマン」。最先端の解析機器はゴルフ界を変えようとしている。米国からは次々とそれら計測器の専門家が来日し、プロ向けの講習会を実施。そこに参加していた日本を代表するティーチングプロの一人・井上透は、あることに気がついたという。その“気づき”とは、ジャンボ尾崎にまつわるものだった。

「最新機器が解き明かす飛ばしのコツ、それってジャンボさんがずっとやってきたことと一致するんです。それを初めて思ったのが、トラックマンのデータを見たとき。高打ち出し、低スピンが飛ぶって、ジャンボさんがハイティアップにしてやろうとしていたことそのままじゃないかって」(井上透、以下同)

ジャンボこと尾崎将司の特徴は、非常に高いティアップにあった。そこからレベルからアッパーブロー気味にインパクトすることで、高打ち出し、低スピンを実現させていた。他のほぼすべてのプロが、ややダウンブローにインパクトし、スピンによって“めくれる”弾道を良しとしていた時代にだ。ジャンボが圧倒的な飛距離を誇ったのは科学的根拠があったというわけだ。

画像: ハイティアップにしてアッパーブロー気味にインパクトをすることで高打ち出し、低スピンを実現していた

ハイティアップにしてアッパーブロー気味にインパクトをすることで高打ち出し、低スピンを実現していた

「トラックマンだけじゃありません。40代の全盛期のスウィングを見ても、一旦沈み込んだところから伸び上がるようにスウィングしている。これって、今のPGAツアーの選手の動きと共通するところがあるんです。解析機があって得られた知識に基づいて辿り着いたモーションに、ジャンボさんだけが辿り着いていたように思います」

井上は、「当時の日本人は世界的にも“飛ばし屋”だった」と語り、それはジャンボメソッドが浸透していたからだと指摘する。そして、そもそも“飛距離”という点に着目したこと自体に驚嘆する。

「ゴルフのデータ分析が発展してわかったことは、プロのレベルにおいてスコアを良くするためにもっとも有益なのは飛距離だということ。だからこそ飛距離に特化してスウィングを作り込んできて、あれだけの勝利数を積み重ねることができた。ジャンボさんは、“何もない時代”にそれがわかってた人なんだということですよね。だからこそ、他の選手とのすごい差が出たんだと思います。だって、一人だけ勝つために必要なことがわかっているわけですから」

画像: 今でこそ多くのプロが採り入れている左手一本打ちだが、ジャンボは数十年前から行っていた

今でこそ多くのプロが採り入れている左手一本打ちだが、ジャンボは数十年前から行っていた

ギアーズも、トラックマンも、スマートフォンもない時代、尾崎は勝つためには飛距離が重要だということに気づき(それは後にデータ解析によって正しいことが証明される)、飛ばすためには高打ち出し、低スピンが必要であると考え(後に弾道解析によって正しいことが証明される)、それを実現するためのトレーニングまでをも独自に考案した。それは、正しく時代を先取りしていた。科学的に有効性が証明された21世紀のゴルフを20世紀に展開していたとも言えるかもしれない。

井上は、話の最後にこういった。

「やっぱりすごいわ、ジャンボさん」

取材協力/ノビテック

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