ドライバーが“紙一重”を突破するカギになる!?
昨年秋、「三井住友VISA太平洋マスターズ」の会場で谷口徹プロに松山英樹選手の現状について意見を聞くと、「あのクラスまで行くと紙一重の世界。ずっと上にいられる選手はなかなかいない。ちょっとの差が大きいですからね」という答えが返ってきました。
松山英樹選手の2018年は、故障の影響もあって、この“紙一重”が埋められないまま過ぎた一年だったように思います。
2018年は「全英オープン」「三井住友VISA太平洋」と「ダンロップフェニックス」の3試合で松山選手のスウィングを直接見る機会に恵まれましたが、どの試合の練習ラウンドでもスウィングの感触を確かめるように、少しずつ改良してはスマホで撮影した動画を見て確認する姿が見られました。
では、そのスウィング調整真っ只中だった、三井住友VISA太平洋マスターズでのスウィングを見てみましょう。
松山選手といえば、太い体幹をねじり上げ、バックスウィングの反動を使わずにトップで一瞬止まるようにしながら一気にフィニッシュまで振り抜くスウィング。フェースの向きは最近流行りのトップで空を向くシャットフェースではなくスクェアで、切り返し以降インパクトにかけてフェースを閉じながらダウンスウィングしていくのが特徴です。
最近は、あのタイガー・ウッズですらトップではややフェースをシャットに使うようになってきており、松山選手に限らず、フェースをスクェアに使う選手が大型ヘッドのドライバーをコントロールするのに苦労するケースがあります。2017年にエースとして使用していたドライバーが破損してしまったこともあり、松山選手もなかなか自分の思い通りのドライバーが打てていないのではないでしょうか。
実際、ティショットのスコアに対する貢献度を表す数値(ストローク・ゲインド・オフ・ザ・ティ)を見ると2017年は24位だったものが2018年は70位にまで下がっています。逆に言えば、ドライバーの調子が上向けば、成績も一気に上向く。そんな可能性は高いと思います。
「ダンロップフェニックス」の練習場では右足をタオルで引っ張ってもらいながら打つ姿が見られました。これは右ひざがボール方向に動くことで、手元の通り道を邪魔しないように行う練習だと考えられます。アイアンの切れ味を落とさずにドライバーの飛距離と方向性を確保するために、アイアンとドライバーを交互に打ち、感触をたしかめていました。このような地道な取り組みの先に、“紙一重”の向こう側の風景が広がっているのではないでしょうか。
2019年は来週開幕のソニーオープン・イン・ハワイから出場するという松山選手。新年早々どんなゴルフを見せてくれるか、楽しみにしたいと思います。