「タイガーや社長には、“ツアースパイシーヘッド”を渡していた」
テーラーメイドのM3、M4といえば、フェースをねじったような設計にすることで、打点のズレによるミスを軽減できるという“ツイストフェース”が話題となり、大ヒットとなったドライバー。2019年1月11日、その後継機となる「M5」と「M6」の2本のドライバーが発表された。
今作のユニークな点は、フェースの反発性能をルールの限界まで高めている点、そしてヘッドの「当たり外れ」をなくしたという点にあるという。
ルールの制限内でいかに反発を高められるかを今、世界のゴルフメーカーがしのぎを削っているが、そこで問題となるのが製造誤差。あくまでイメージだが、仮に「100」がルールの上限値だとして、「99」を製造の基準とすれば、プラスマイナス2の製造誤差があった場合、ルールを超える「101」の反発力を持つヘッドが出てしまい、ルール不適合となってしまう。
もうひとつの問題が、たとえば「95」を基準に、同じく製造誤差がプラスマイナス2あるとすれば、反発性能が「97」のヘッドもあれば「93」のヘッドも存在してしまうということだ。発表会に登壇したテーラーメイドの上級副社長、ブライアン・バゼルは言う。
「みなさんがお持ちのドライバーの中には、初速が残念ながら遅いものがあるかもしれないし、ラッキーな方は初速が速いものをお持ちかもしれない。ダスティン・ジョンソンやタイガー・ウッズには反発が(製造誤差の中で)高い『ツアースパイシーヘッド』を渡している。テーラーメイドの社長にもね(笑)。今日この発表会には200名強の方が起こしだが、『ツアースパイシーヘッド』とルール限界値の間にある『エクストラスパイシーヘッド』をお持ちの方は3%未満で、6名もいない。我々は、200人の方すべてに『エクストラスパイシーヘッド』を渡せないかと考えた」(バゼル)
トッププロは、数多くのヘッドの中から微妙な個体差をテストし、ベストなものを選ぶことができる。その個体差自体が少ないのは、トッププロならぬアマチュアゴルファーにとっては朗報だろう。
ではそれをどう実現するかといえば、「まずルール不適合のヘッドを作り、その後すべてのヘッドを計測し、そのデータをクラウドに送り、独自のアルゴリズムによって計測された必要なだけのレジンをトウ・ヒールに注入することで、ルール限界値にチューン。注入するレジンの量はヘッドによって異なる。そして、注入後にもう一度計測を行う」という。
この新しいテクノロジー「スピードインジェクション 」により、すべてのヘッドが“エクストラスパイシー”になるというのがメーカーの説明だ。フェース面の特徴的な「赤ポチ」は、そこからレジンを注入するために開けられているという。
ちなみに、M5は従来通り重心調整の幅が大きいモデル。M6は調整機能が少なく、その分だけヘッド後方に巨大なウェートを設置され、深・低重心化したモデルとなっている。
また、前作「M3」には440と460のふたつのヘッドサイズが用意されていたが、「M5」ではこの区分が廃され、460ccの「M5」と435ccの「M5TOUR」のふたつになった。「M6」もヘッドサイズは460ccだ。
市場に出回るヘッドの“当たり外れ”に踏み込んだ新しいMシリーズのドライバー。前作に続いてヒットクラブとなるか、注目だ。