「溝が1ミリ長い」ローズのこだわりに、HONMAが応えた
ローズのクラブセッティングを見てみると、ドライバーは昨秋発表された「TW747 460」。これにスイッチしたことでボールスピードは3〜4マイル(約1.3〜2.6m/秒)アップし、ヘッドスピードも0.5〜1m/秒ほどアップし、飛距離も伸びていると言う。
「カーボンクラウンでとても軽い素材でいい。他のカーボンクラウンのドライバーに比べても、もっとも速いスピードを生むヘッドだ」(ローズ)
また、アイアンは「TW747 V」と「TW747ROSE PROTO」を使用。ウェッジはTOUR WORLDプロトタイプ(48度、52度、56度、60度の4本)がバッグに入っている。
ローズはとくにアイアンの細部へのこだわりが強く、昨年HONMAのアイアンのフェース面を見たときに、溝の長さが1ミリ長いと感じた。それを酒田工場のクラフトマンに伝えると、ヒール側の1ミリを短くした溝にきっちり仕上げてきたという。
「HONMAのクラフトマンは、1をいえば10のことをやってくれる。ルックスは細部に至るまで正確だし、リーディングエッジやシャープなトウ形状も気に入っている。パフォーマンスだけでなく打感や音もいいし、スピン量の数値もいい。若干アイアンも飛距離がアップしているよ。HONMAと契約したのは、彼らが僕の細かいリクエストに応えてくれるからだ。他のメーカーに比べて、僕の個性を生かしたクラブを作ってくれる。僕は“こうしてほしい”というリクエストをクラフトマンに渡してあるが、そのリクエストにのっとって、正確に手作りしてくれているし、クオリティが高い」
とローズが語るように、日本のものづくりにかける精度の高さや、使い手の気持ちを考えることのできる職人の熱い想いが、世界ランク1位の心を動かした。
このようなトッププロからの繊細な要望に長きにわたって応え続けることで、HONMAが誇る酒田工場のクラブ作りの精度は磨き上げられてきた。その圧倒的な“資産”があるからこそ、世界ランク1位にも、一般ゴルファーに対しても、変わらぬ精度の商品を届けることができるというわけだ。
だからこそ、ローズもキャリアの絶頂期にいながら、約20年間使い慣れたクラブを手放し、新しいクラブを使いこなすことに少しも不安を感じなかったと言う。
「短い期間ながらも、HONMAを信頼することができたし、パフォーマンスに関してはもちろんのこと、ルックス、打球音、打感もよかった。だから疑う余地はなかったし、すぐに信じられた。これで成績が悪くても僕の責任。新しいクラブを使うことに心配や恐れはないね」
「10本契約」ながら、すでに11本をHONMAにスイッチ
現在、フェアウェイウッドとパターは別ブランドを使用しているが、14本中10本の契約なので、問題はない。こうして契約に縛られすぎずに好きなクラブを入れられる“フレキシビリティ”を与えてくれたHONMAだからこそ、ローズも新規契約を決断したといっていいだろう。
「クラブは14本と決まっているが、世の中には実に様々なゴルフクラブが存在し、その中から自分にベストなものを選びたいと思った。全クラブにおいて縛りがあると、自分の本当に使いたいクラブが使えない。違うパターを使ってみたいし、違うウェッジやボールも使ってみたいという僕の希望をHONMAは受け入れてくれたんだ」
その上で、「今後はHONMAのフェアウェイウッドやボールも試してみたい」と積極的だ。HONMAのクラブを携えて初めてツアーで戦った「デザートクラシック」は34位タイ。世界ランク1位にしては平凡な成績に終わったが、まだまだ試運転中といったところだろう。
2カ月後にはマスターズもやってくる。その頃までにはクラブの調整も進み、手にしっくりなじんだHONMAのクラブに仕上がっているはずだ。クラフトマンたちの夢を乗せて、新生ローズがメジャー獲りに挑む。