「プロが十分に使えるボールだと自負しています」
暖かく降り注ぐ太陽、そして青空。フロリダらしい晴天の下で幕を開けたPGAマーチャンダイズショー。世界中のゴルフメーカーが自社の商品を知らしめるべくブースを展開する中、ひときわ熱気を放っていたのがミズノのブースだ。
近年、“アイアンのミズノ”の評価は日本にいるとわからないほど欧米で高い。そして、米国の有名リストにドライバーがランクインしたり、契約外の有名選手が使用したこともあり、ちょっとしたミズノブームの様相なのだ。ブースの熱気は、関係者が「今までで一番混んでる」と漏らすほど。
そのブースで多くのアメリカ人ゴルファーや関係者の注目を集めたのが、ミズノが発表したツアーボール「RBツアー」だ。一体どんなボールなのか、現地にいたミズノのゴルフ企画開発課・青木智明氏に聞いた。
「ミズノのスポーツメーカーとしての研究を活かして開発したウレタンカバーの飛ばせるツアーボールです。最大の特徴はディンプルにあります。ディンプルの底面と側面を平面にした円錐台形形状にすることで、ボールが飛んでいく際の抗力を下げ、これだけでその他の条件はすべて揃えても飛距離が伸びます。さらに、素材・構造を最適に組み合わせることで、ボールスピードを上げることに成功しました」(青木)
ミズノといえばアイアンに限らず、どのクラブも打感の良さが特徴だが、RBツアーもその「ミズノの打感」をさらに活かすべく、ウレタンカバーを厚めにしているという。もちろん、それによってスピン性能も増す。「プロが十分使ってもらえると自負しています」と青木氏も胸を張るボール、果たしていかなる打ち心地なのか。
現地でゴルフスウィングコンサルタントの吉田洋一郎に、実際にミズノのボールで打ってもらった。そのコメントがこちらだ。
「アゲンストに負けない弾道が打てる」
「試打ブースはかなりのアゲンストでしたが、底面が平らなディンプルの影響なのか、ドライバーで打つとスピンが少なく、風に負けない弾道が出ます。意図してスライス、フックも打ってみましたが、アゲンストなのに曲がり幅が少ない。バックスピンのみならず、サイドスピンも減るのは非常に好印象です」(吉田)
吉田は、競合ひしめくボール市場にミズノが「あえて出す」理由が打ってみて理解できたという。それが、このボールの飛び性能だ。
「あえて比較するならば、他社メーカーの同タイプのツアーボールほどの打感の軟らかさがあるわけではない分だけ、飛距離が出ます。ボール初速が速くてスピンが少ない弾道は、飛距離を伸ばしたいプロゴルファーなら手を出したくなるのではないでしょうか。ショートゲームに関しても、打感が硬いということはまったくなく、むしろ適度な打感ですから」(吉田)
また、吉田曰く「やはり、ミズノのアイアンでミズノのボールを打った打感は秀逸」とのことで、とくにミズノユーザーならば手に取る価値がある。前出の青木氏も「世界中のミズノの社員待望といっていい性能の自社ボールなんです」と胸を張る。ミズノのクラブとの相性は言うまでもないだろう。
最後に、試打ブースで一際ナイスショットを連発していた、ネブラスカ大でゴルフをしているスクラッチプレーヤーだというブランドン・ボンド氏のコメントも紹介しておこう。
「ミズノはアイアンのイメージが強いけど、最近はドライバーも評判がいいよね。でも、ボールがあるのは知らなかった! 打ってみたけど、アゲンストの風に強くていい。打感もいいし、使ってみたいと思わせるボールだよ」
実際、風を切り裂くような弾道のボールを連発していた。大学に戻れば仲間たちに「ミズノにボールがあるのを知ってたか? すごくいいぜ!」と教えるかもしれない。
おそらく、このボールの欠点は、発表されたばかりだから当然といえば当然だが、「知名度がない」というその一点。しかし、ボンド青年のように、アイアンやドライバーからミズノのプロダクトと出会ったゴルファーが、ボールもテストし、そこから口コミで広がっていく可能性は大いに感じられる。
日本での発売日は2019年2月22日を予定。グローバルな人気が加速しているミズノのツアーボール、いち早く手にとってみる価値がある。