アプローチの名手・ミケルソンは手首を使い、ダウンブローにインパクトをするアプローチスタイルだ。しかしミケルソンスタイルとは違うアプローチスタイルを持つ選手がいるという。アマチュアは一体どちらのスタイルをやるべきか?データ分析専門家のゴウ・タナカが分析した。

デザートクラシックを最終日2打差トップで向かえ、3アンダーでまとめたが、2位タイで終わり逆転優勝を許してしまったミケルソンだが、現在48歳でもその強さを保ち続けている。

ミケルソンの実力、功績は言わずと知れたところだが少し紹介しておく。生涯獲得賞金はタイガーに次ぎ歴代2位で、全米オープン以外のすべてのメジャーで勝利しており生涯グランドスラムに王手をかけている。マスターズでは3勝もしている。輝かしい戦歴だが、フェデックスカップも世界ランキング1位もとったことがない。

画像: 48歳の今も輝きが失われないミケルソン(写真は2018年のマスターズ)

48歳の今も輝きが失われないミケルソン(写真は2018年のマスターズ)

ただ、すでに生きた伝説になっているタイガーの最高の好敵手と誰もが認めるとこだろう。左利きが目立っているが、ミケルソンはゴルフ以外はすべて右利きという珍しいタイプで、その理由は子供のころから父親のスウィングを鏡のようにして真似ていたからだ。

ミケルソンはドライバーを2つ入れたり、100ヤードからピンを抜き、あわやカップインかというショットを放ったり、傾斜を利用してグリーンに背を向けてグリーンに乗せたり、動いているボールをパットしたりと(これは批判を浴びたが)、我々が驚くプレーを幾度となくし、見ていて本当にワクワクするゴルファーだ。

画像: テークバックで手首をコックして、ダウンブロー気味にインパクトするミケルソン(写真は2015年全米オープン 撮影/岡沢裕行)

テークバックで手首をコックして、ダウンブロー気味にインパクトするミケルソン(写真は2015年全米オープン 撮影/岡沢裕行)

すべてを兼ねそろえたトータルプレイヤーであるミケルソンだが、そのアプローチの精度、引き出しの多さからアプローチの名手と思っているゴルフファンは多いのではないだろうか。私もその一人で、よくミケルソンのアプローチレッスンを見て真似したものだ。

ただ、最近はミケルソンとは違うアプローチのスタイルを使うトッププロも増えてきた。ミケルソンはアプローチの際にテークバックで手首をコックし、それをロックしたままインパクトし、フォローでもその角度を維持したまま打つべきとはっきりと言っている。そして、少しダウンブローにインパクトをしていて、やや打ち込んでいくイメージだ。同タイプの有名な選手ではジョーダン・スピースなどがあげられる。

画像: ノーコックのアプローチスタイルで精度に定評のあるのはジェイソン・デイ(写真は2018年全米プロゴルフ選手権)

ノーコックのアプローチスタイルで精度に定評のあるのはジェイソン・デイ(写真は2018年全米プロゴルフ選手権)

ただ、アプローチの精度には定評のある元世界ランキング1位のジェイソン・デイはミケルソンスタイルとは違うスタイルで、デイスタイルのプレーヤーは最近増えてきている。

デイのやり方は単純で、アドレス時のシャフトと腕の角度を一切変えずにノーコックでテークバックしその角度を維持しながらインパクト、そしてフォロースルーを出していく。ミケルソンスタイルに比べインパクトはレベルで、よりパッティングに近いイメージだ。

画像: ノーコックでテークバックし、レベルブローに近い軌道でインパクトをするデイ(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

ノーコックでテークバックし、レベルブローに近い軌道でインパクトをするデイ(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

打ち込むイメージはなく、クリーンに球を拾っている。球の高さもボール位置、ハンドファーストの具合を調整するだけと非常にシンプルだ。トッププロのアプローチの仕方はこのミケルソンスタイルとデイスタイルで2分化されていると言ってよいだろう。

では、どちらのほうが正解なのか? アプローチ部門において安定して上位に居続けるプレイヤーのデータをとったところ、ややデイスタイルのほうが多く優位という結果になったが、はっきり言ってパッティング、スウィングで超一流に共通する傾向に比べ、このデータは弱い。あえて言うならデイスタイルのほうが良いという程度だ。

では、アマチュアはどちらのスタイルをやるべきなのか? まずデイスタイル(ノーコック)を試してみてインパクトに支障がないかを試す。もしここでインパクトがうまくいかない場合、もしくは気持ち悪い場合はコックを使うほうが合っているということなのでミケルソンスタイルにするべきだろう。アプローチは形も重要だが感覚が占める部分も非常に大きい。

ただこの2つのスタイルには共通している大事な部分が2つある。まずひとつはインパクトにかけて減速させずにしっかりと加速させること。もうひとつはインパクトからフォローにかけて手首をロックすること。

アマチュアにとくに多く見られるのはインパクト後に手首を使いすぎてしまうことなので、インパクト、フォローにかけての手首のロックを意識してみると良いだろう。そうするとバックスピンもより多くなるはずだ。

以上の点を踏まえ、練習場でまず自分のスタイルの確立と、正しい手首がロックされたインパクト、フォローを練習してみてはいかがだろうか。

撮影/姉崎正

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