女子プロは「曲がっても、気にしない」
朝一番、一打目のティショットはどうしても緊張してしまうシチュエーション。それだけにミスしたときのダメージも大きい。大ポカをしてしまっても「次は次!」と切り替えて打ちにいくのだが、結局悪い流れを一日中引きずってしまいスコアも伸び悩む……なんて経験がある方も少なくないのではないだろうか。
アマチュアでも緊張してしまうのだから、プロとなれば自身にかかるプレッシャーも桁違いのはず、上手く乗り切るとっておきの秘訣があるのでは!? ということで、プロコーチ・井上透が指導する女子プロたちに朝イチティショットへの臨み方、ミスしたときの切り替え方を聞いてみると、なんとも“豪胆な回答”が返ってきた。
「私は朝イチ曲がっちゃったら気にしないことに徹する。朝緊張していても受け入れます、受け入れるしか無いですね」(小竹莉乃)
他の4人も言葉は違えど大筋は同じ。全員が「そもそも曲がってもいい、気にしない」というのだ。この結果について、井上は「プロに聞くと大体こういう答えになってしまう」と話す。
「前提として、アマチュアゴルファーの方のミスの質・傾向とプロゴルファーのそれにはずいぶん差があると思うんです。
一口にミスと言っても“利用できるレベルのミスショット”なのか、“利用できないレベルのミスショット”なのかによってすごく大きく分かれます。プロゴルファーの場合、曲がってもある程度許容範囲内のボールになっているので、直すか受け入れるかで言ったら受け入れちゃう場合も多いんです。
たぶんアマチュアゴルファーの方のミスショットは後者の場合が多くて、このボール(打球)は使えない、どう工夫してもフェアウェイの幅にいかないってところから問題が発生しているわけです」(井上)
朝イチのミス、原因は緊張か否か。まずはそこだけ判断しよう
秘訣もなにも、そもそもの話アマチュアが想像するような「取り返しのつかない致命的なミス」をプロはしない。最高の結果ではないものの、一目でOBとわかるボールやチョロを打つことはまずないからだ。しかし我々アマチュアはそういうわけにもいかない。朝イチティショットでミスをしてしまったら、その後に取るべき行動とはなにか、井上に教えてもらおう。
「まず、“なぜミスしたのか”を客観的に分析する必要性があります。たとえばミスの原因が『緊張による手の震え』だとしたら、緊張が解けた次のティショットはナイスショットの可能性が高いですよね。でも、『緊張していないのにミスをした』のなら、次も同じミスをする可能性は高くなります。ミスの原因が緊張によるものかどうかで事の重大さは全然違うということです。
まずはそこを分類して、もし緊張が原因でないのなら、インパクトの際にフェースのどの部分に当たったのか、向きはどうだったかなど、自分のショットを分析し次の対策を冷静にやるということが重要です。分析することは女子プロよりもみなさんの方が冷静に、客観的にできるはずです」(井上)
ミスが出たらその原因をしっかりと考え、次に繋げること。シンプルなようでとても難しく、だからこそ一番効果的な対策法ということだ。