“GG”ことジョージ・ガンカスがコーチ
こんにちはケンジロウです。
フェニックスオープンの会場があるアリゾナのスコッツデールからお届けしております。フェニックスオープン2日目が終わりました。松山英樹はスコアを2つ伸ばして5アンダーの25位タイ。小平智は後半3バーディで盛り返して1アンダーの64位タイで予選を通過しました。
さて、アメリカのPGAツアーでは、雨後の筍のように次から次へと新しい選手が出てきますが、今週また新たな若手有望株が現れました。キャメロン・チャンプ? いえいえ、ホアキン・ニーマン? いえいえ、今回紹介するのは、マシュー・ウルフです。
フェニックスオープンに推薦枠で出場している19歳のアマチュアです。彼はオクラホマ州立大学のゴルフ部1年生。オクラホマ州立大学といえば、そう、あのリッキー・ファウラーと同じ大学なんです。
彼はカリフォルニア出身、オールアメリカンに選出されるなど、高校時代から輝かしい成績を残してきました。名門のオクラホマ州立大に進学し、現在世界アマチュアランキングで4位。ちなみに我らがニッポンの金谷拓実君は世界アマチュアランク6位にいます。
火曜日の練習ラウンドでは先輩のリッキー・ファウラーとピーター・ユーラインと一緒に回っていました。どうもリッキーに一緒に回ってくれと頼んだらしいですよ。
アマチュアながら、もうすでにこちらでも人気があり、リッキーと一緒にサイン攻めにあっていました。こういったファンサービスをこなすところを見ても、もうすでにプロに近いところにいるのだなと感じますね。でも彼が注目を浴びているのはなぜか? その答えはスウィングを見てもらえればわかると思います。
とってもユニークなスウィングでしょ? 僕は彼を見てすぐに池田勇太を思い出しました。
ヒールアップしながらクラブをアップライトに上げトップではシャフトがクロスし、そこから体のリードでクラブをプレーン上に下ろしています。まさに8の字を描くようなスウィング。高い位置からクラブが下りてくるので、重力のパワーを最大限に使っているなぁ、という印象を受けました。同行する姉崎カメラマンにウルフの連続写真の撮影をお願いしたのですが、「(カメラを)横位置で撮っていたらトップでヘッドが見切れちゃった」と苦笑いしていました(歴戦のベテランカメラマンの想像を超える高いトップの位置ということです)。
またプレショットルーティンで、小さくジャンプしつつ左腰を少しターンさせてから始動に入るんです。まるでボクサーがパンチを打つときのフットワークのようで、なんかカッコいいんですよね。この動きは切り返しのときのリハーサルなのだと思います。
初日の試合後のインタビューでルーティンの動きについて聞かれたウルフがこう答えています。「高校のときにコーチのジョージに『右を向いているから肩と腰をもっと開いていかないと』と言われ、そのときから打つ前に少しやるようになったんです」(ウルフ)
ここで会話に出てきたジョージという人物は、あの「GG」ことジョージ・ガンカスです。月刊ゴルフダイジェストの2018年11月号で紹介しましたが、プロからアマチュアまで多くの生徒を抱えている売れっ子コーチで、GGのスウィング理論は、今や世界中で大流行しています。何でもウルフの個性的なスウィングを見たときにGGはウルフのスウィングをまったく直さなかったそうなんです。
「ユニークなスウィングって言われることが多いんだけど、ジョージに最初にスウィングを見てもらったとき彼は僕に『いいスウィングだね』って言ってくれたんだ」(ウルフ)
そのジョージ・ガンカスコーチにウルフのスウィングのポイントを聞いてみました。
「ウルフは高い位置のトップから左足を踏み込んでパワーを真っすぐ下にかけて、そこから胸も腰も一気にターンしている。シャフトがクロスしたあとにしっかりとシャローイング(※注)することでよりスピードとパワーが生まれるんだよ。切り返しのときに自分でクラブを引っ張り下ろさないように注意させているよ」(ジョージ)
※注:シャローイングとは切り返しでクラブを垂直に落下させてヘッド軌道をより鈍角にする動き
まさにGGのスウィング理論の申し子。初日と2日目の平均ドライビングディスタンスは331.4ヤード。フィールド中の3位の数字です。ものすごく飛んでいますよね。GGの生徒は軒並み飛びますからね。ここ数年、池田勇太も飛んでいるしこりゃ「8の字ループスウィング」が流行るのかな? ちなみに初日は67、2日目は70で回り、トータル5アンダーで堂々の予選通過。ほんと、アメリカのPGAツアーはどんどんと有望な選手が出てきますよね。
撮影/姉﨑正