ハーフウェイバックで右腕が曲がってない
ワイドなスウィングとはバックスウィングでコックの入るタイミングが遅く、テークバックを広く大きくとるスウィングのこと。左腕が地面と平行になるポジションで右腕がほぼ伸びた状態で、コックを入れず、クラブが立っていない選手は「ワイドなスウィングをしている」と言っていいと思います。
ロリー・マキロイやジョン・ラーム、ザンダー・シャウフェレ、ブライソン・デシャンボー、リッキー・ファウラーなどはその分類に当てはまり、ブルックス・ケプカもほぼその分類に入れていいと思います。
まずは画像Aのラーム(左)とシャウフェレ(右)のテークバックを見てください。両腕は伸ばされ手元は体から遠くにあり、手首を親指側に折るコックの動きはほとんど入っていません。彼らは、典型的なワイドに上げる選手と言えそうです。
それに対して地面と左腕が平行になるポジションでクラブが90度立つのはワイドに対して「ショート」なスウィングと言えます。コックを使うタイミングが早く(アーリーコック)、比較的アップライトな(縦振りに近い)スウィングに多いです。
たとえば画像Bを見るとわかるように、ジャスティン・ローズ(右)、フランチェスコ・モリナリ(左)などはこのタイプ。
往年の名選手でいえば、トム・ワトソンなどはショートなスウィングをする選手です。かつてドライバーの重心は今より高く、ボールを飛ばすにはある程度ダウンブローに打ってスピンをかける必要がありました。そのためには、アップライトなスウィングをする必要があり、アップライトなスウィングするためにはショートなバックスウィングが要求されたのでしょう。
では、ワイドなバックスウィングのメリットはどのような点にあるのでしょうか。大きくふたつ挙げられます。ひとつは、体から手元を離すように上げることで体の捻転が深くなること。
画像Cはロリー・マキロイのバックスウィングを正面と後方から見たものですが、両腕はほぼ伸ばされてコックもほとんど入っていません。右ひざを動かさないままこのように腕とクラブを動かすと、腰回りから背中はしっかりとねじられ、エネルギーを溜めることができます。実際にやってみると、かなりきつく感じられるはずです。
ふたつめは、ワイドなバックスウィングをとると比較的フラットなトップになりやすく、それによりクラブの入射角が浅くなり、以前に比べて低重心になった現代のクラブにマッチする点です(低重心ドライバーは重心の上で打ったほうがスピン量が減って飛ばしやすくなります)。マキロイやガルシアのトップは、手元が頭より高くならないフラットなトップになっています。
画像Eはマキロイのダウンからフォローにかけての連続写真ですが、フラットなトップからダウンスウィングするとインパクト、フォローとクラブが描く面(スウィングプレーン)が縦(アップライト)ではなく比較的斜めな軌道であることがわかります。非常に現代的なスウィングと言っていいでしょう。
もちろん、ジャスティン・ローズがワイドなバックスウィングをして“いない”ように、あくまでスウィングのタイプの違いであり、一概にどちらが正しい、間違っているという話ではありません。
ただ、現代の大型ヘッドを使いこなすためのテクニックのひとつであることは間違いがないので、興味のある方は練習場でワイドなバックスウィングを試してみるのもいいかもしれません。かなりキツいので、ストレッチはしっかりと行った上でやってみてください。
(2019年2月19日の記事を再掲載)