まずは「なぜ近く見えるのか」を知るところから
120ヤードならたとえば9番アイアンだが、どうも9番では大きい気がする。でも、本当に120ヤードならピッチングでは届かない……こんなとき、一体どうすればいいのだろうか。
「その違和感がどこから来ているのかを知ることが大切です」というのはプロゴルファーの中村修。
「実測距離よりも短く感じられるケースは、二種類に大別できます。ひとつめは、体のコンディションがいい、極端な打ち下ろし、フォローの風を感じているなどのケース。この場合、飛距離に応じた番手を選ぶとたしかににオーバーする可能性があります。しかし、それは実はレアケース。多くの場合、目の錯覚です」(中村、以下同じ)
中村が、ざっくりと挙げてくれた「グリーンが近く見える」錯覚を引き起こすロケーションは、以下のようなものだ。
・グリーンすぐ手前に巨大なバンカーがある
・グリーン奥に林などがなく、抜けている
・グリーンに向けて林やフェアウェイが狭まっていない
・グリーンから数十ヤード離れた手前に池やバンカーなどがある
・ライが左足下がりで打ち下ろし、あるいは強めの受けグリーンで、グリーンの全体像が見える
このようなケースでは、「どうも近く見えるんだよなあ」が生じやすいという。では、このように感じた場合はなにが正解なのか。
「自分としても気になって、松山英樹プロのキャディとして知られる進藤大典キャディ、女子ツアーで活躍する木村翔キャディに話を聞きましたが、二人とも口を揃えて『その距離を打ってください』という答えでした。120ヤードは、たとえどう見えようとも120ヤード。見た目に惑わされず、実測距離を測るのが正解とのことです」
ゴルフ場では、設計者がゴルファーをだます、もとい、楽しませるべく様々な“罠”を仕掛けている。目の錯覚を利用して、グリーンを近く見せる/遠く見せるというのはその代表例のひとつ。それを見破るのもゴルフの楽しみのひとつ。距離計測器によってそれが容易にできるようになったのは、考えてみるとちょっと味気なさを感じないでもないが、スコアを作る上で有効なのは事実。
見た目の印象に惑わされず、測った数字の通りの距離を打つのが正解だ。