手元を流さずに、体の幅の中で振れ!
ジャンボ尾崎プロが主催するレッスン会に集まったのは、23名のジュニアたち。彼らを、尾崎将司プロを筆頭に、直道、健夫の両プロ、飯合肇、川岸良兼、谷口拓也、山田龍太の男子プロ、そして紅一点の原英莉花プロも加わった豪華メンバーが指導するとあって、気温14度ほどと春の近付きを感じるものの、まだ肌寒い練習場が、熱気に包まれていました。
「ジュニアゴルファーが一生懸命練習しているのを見るのは好きなんだ。教えるのは苦手なんだけどな」と口では言いながらも、2時間みっちりと一人一人のスウィングを見て丁寧に指導していたジャンボさん。
指導する中で、スウィングがこじんまりとまとまっているようなジュニアに対しては「もっと振れ! いい体格しているんだからもっと思い切り振れ」と飛距離にこだわり飛距離を武器にしてきたジャンボさんならでの”ゲキ”が飛びます。
ジャンボ軍団の中でも豪打でならした飯合肇さんがそのヘッドスピードに驚き、中学3年生と年齢を聞いて二度驚いたのが東京から参加した昌山大暉君。ジャンボさんも、昌山君の打席で足を止め「いいもの持ってるな」と目を細めてスウィングを見ていました。
その昌山君が「40-50ヤードのアプローチが上手くできません」とアドバイスを求めると「アプローチには打ち方があるからな」と言って手を取り、自らも打って見せて熱心な指導が始まりました。これはその場にいた誰しもが「羨ましい!」と感じる貴重な瞬間でした。
内容はまさしく”打ち方”を教えるレッスン。具体的には、フォローで手元を流さずに左手リードで体の幅の中で振るように、というもの。手元を大きく動かさず、しっかりと体の回転を使って打てといいながら、ドン! ドン! と音を立て、打って終わりくらいのイメージの打ち方を教えていました。昌山君はその後も飯合さんの指導を受けアプローチの打ち方をしっかりとつかんでいました。
「ゴルフで一番大切なのは基礎になる体力と基礎練習の反復」とジャンボさん。深く納得させられます。
1964年の東京五輪で聖火ランナーを務めたジャンボ。今年は「ラストイヤー」
さて、ゴルフに携わる者として、ジャンボさんの強い姿を見てきた者としては、このようにジュニアに指導する姿にはやはり隔世の感があります。
現在は300ヤードを飛ばすのが当たり前の時代になりましたが、タイガー・ウッズ登場以前からそれを実践していたジャンボさんは、今オフも20種類の素振り用クラブを自作し、毎日200スウィングをしてトレーニングしていると話してくれました。
そして迎える2019年シーズンは「東京オリンピックではじまり東京オリンピックで終わるラストイヤー」との覚悟で臨むと言います。なんでも、55年前の1964年、春の選抜高校野球大会を海南高校のエースとして優勝に導いたジャンボさんは、その実績から東京五輪の聖火ランナーを務めたというのです。いわば、尾崎将司という人の原点のひとつなのでしょう。
それから半世紀以上が経ち、再び来年東京でオリンピックが開催される。その巡り合わせに思いを馳せているようです。72歳となったジャンボさんですが、「まだ“(ゴルフのスコアでいう)イーブンパー”だからな」とその心は衰えることを知りません。
さて、レッスン会に参加したジャンボ軍団の紅一点の原英莉花は、2月15日に20歳になり前日初めてジャンボさんと日本酒と焼酎を少し飲んでカラオケで歌も歌ったのだそうです。
「ジャンボさんの指導を見て自分も思い出したことがありました。やはり基本は大事ですね。開幕ダッシュが大事だと言われてますので、もう一度確認して開幕までしっかり打ち込みます」(原)
今回のジュニアレッスン会は昨年から始まったジュニアアカデミーのセレクションも兼ねているそうで、合計で40名ほどのジュニアゴルファーがジャンボ尾崎のゴルフに対する姿勢を見て育つことになります。
すでに原英莉花という逸材を世に送り出しているジャンボさんですが、これからも“ジャンボチルドレン”が世界で活躍する姿を見てみたいですね。