飛び系アイアンのブームが続いている。飛び系アイアンにはやさしく飛ばせるというメリットがある一方で、アイアンとウェッジとのつながりがスムーズにいかなくて悩んでいるゴルファーも増えていると話すのは、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。一体どういうこと!?

同じ「PW」でもモデルによってロフト差は最大10度!?

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。突然ですが、みなさんはご自身が使われているピッチングウェッジのロフトをご存知でしょうか。最近のアイアンはストロングロフト化、各番手のロフト角が小さめに設定されていることが多くなりました。

ややこしいことに各モデルによって飛距離の優先度が違う為、同じ番手表記でもロフト角の違いの幅が過去に比べて非常に大きくなっているのです。

画像: 激飛びアイアンを使うときは、ウェッジとのつながりに気をつけたい(撮影/野村知也)

激飛びアイアンを使うときは、ウェッジとのつながりに気をつけたい(撮影/野村知也)

私の知る限り、現在市販されているアイアンのモデルの同じピッチングウェッジでロフト設定の小さいモデルと大きいモデルの差が10度もあります。これはアイアンの番手に直すと2.5番手分の差に相当します。それだけ幅があると、アイアンを新調したときに1番手分ぐらいは簡単にズレてしまうでしょう。

同じロフトでも「飛ぶウェッジ」「飛ばないウェッジ」がある

立ったロフトのアイアンに買い替えた時に困るのがウェッジです。そのままセットモデルと同じウェッジを使うならなんら問題はないのですが、問題なのは今までいわゆる単品ウェッジを使用していて、そのまま使用する場合。

一般的に52度、56~58度の2本が主流で、ウェッジをそのまま使用しまうとピッチングウェッジとその次のウェッジとの間の飛距離に大きな差が生まれてしまいがちです。もちろんメーカーもその問題は把握していて、最近の単品ウェッジのロフトラインナップは増えてきていますし、雑誌などでも48度や50度などのウェッジの特集を組んでいますね。

メーカーのおすすめも雑誌の特集もセッティングの本数に余裕があればロフトの立ったウェッジをもう1本追加し、本数に余裕がなければ、ロフトピッチを均等にしようといった内容になっています。この考えには、私も基本的には賛成です。ですが一部のゴルファーには当てはまらないと考えています。その一部のゴルファーとは、ストロングロフトのアイアンを愛用しているゴルファーの方々です。

ストロングロフトのアイアンは、少ないロフトでもボールの高さを出すため、重心が深く低くなるように設計されています。こういったモデルは、飛距離を稼ぐためもあり、ややスピンが少なくなります。それに対して単品のウェッジの多くは、スピン性能を高めるために高重心に設計されていて、飛距離よりもコントロール性を重視しています。

画像: ストロングロフトモデルのウェッジは単品ウェッジの同じロフトモデルよりも確実に飛んでいた(撮影/有原裕晶)

ストロングロフトモデルのウェッジは単品ウェッジの同じロフトモデルよりも確実に飛んでいた(撮影/有原裕晶)

この相反する設計の二つを組み合わせるとなるとロフトピッチを均等にしても飛距離は均等になりづらくなるわけです。もちろんメーカーも違和感がないようにストロングロフトのモデルの短い番手は飛び過ぎないように、単品ウェッジはある程度飛距離も出るようにスピンを抑え気味に設計はしていますが、もともとの設計思想や求める性能に差があるため、どうしても飛距離に差が出てしまいます。

実際に私はストロングロフトのモデルのウェッジと単品ウェッジの同じロフトのモデルを打ち比べたことがありますが、確実にストロングロフトのモデルの方が飛びました。

実際にそういったお悩みのお客様が何人かいらっしゃいました。ピッチを均等にしたのに思ったほどウェッジが飛ばないと。そういったお客様にはピッチングウェッジ直近の単品ウェッジのロフトを立てて対応しています。もしこの記事を読んでこころあたりがある方は、ロフトピッチにこだわらず、ウェッジもストロングロフト化することを検討してみてくださいね。大切なのは、狙った距離をその通りに打てることですから!

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