「クラブを変えるのに抵抗はないですね。メーカーさんが私に合わせてクラブを作ってくださっているので。スウィングなどもレベルアップしている途中で、その中でどんどんクラブも変わっていくもの。今はいい感じに進んでいます」(永井)
永井花奈は契約会見でそう口にした。クラブへの考え方はプロでも違いが出るだろうが、「私の中で技術の次に大切なもの」だという永井がヤマハとの契約の決め手となったモノ、それはアイアンだという。
「いい意味ですごく簡単。音や打感、構えた時のヘッドの見え方が一番大事かなと思っていて、(ヤマハのアイアンは)ボールも高く上がってくれて多少悪いライでも気にせず打てそうだなって思ったのが大きいですね。やっぱり試合の中で難しいシチュエーションってあるんですけど、そこで“簡単”だっていうことはすごく大事だなと思いますし、スコアを出したりいいショットをするのに難易度は要らないと思うので、気に入っています」(永井)
永井によれば飛距離にさほど変化はないものの、ミスショットしてしまった時もクラブがカバーしてくれているのを感じるという。このクラブの“やさしさ”が、永井が目指すモノに必要な性能だった。
「今年の目標として、優勝ももちろんそうなんですが、(パフォーマンス面では)平均飛距離を5ヤード伸ばすことを目標にしていています。去年から『飛距離アップ』と『平均パット数の向上』に取り組んでいて、パットは良かったんですが飛距離が伸びなくて」(永井)
飛距離向上の為に「しっかり速く振る」ことを心がけているという永井。しかし速く振って飛ばすということには当然ながら「曲がる」リスクもつきまとう。そこで曲がりを抑えるためにヤマハのクラブ、というわけだ。
ちなみにLPGA公式サイトのスタッツを見てみると、2018年シーズンの永井の平均飛距離は229ヤード。ここに+5ヤード、ヘッドスピードでいえば現状の40m/sから41m/sに向上させるのが目標だ。また、さらなるレベルアップのため、昨年末のオフから上田桃子や小祝さくらなど、多くの女子プロを指導する辻村明志コーチの指導を受けているという。
「今年から辻村プロにも見てもらうことになって、スウィングの中でもヘッドスピードを上げるために色々取り組んでいます。辻村さんが見てる選手は上田桃子さんだったり(小祝)さくらちゃん、比嘉真美子さん……小柄なんですけど飛距離が出る選手が多くて、私からアドバイスをいただきたいと思ってお願いしました」(永井)
永井の身長は155センチと、小柄。そこで同じく小柄な選手を指導する辻村コーチの門を叩いたというわけだ。「意識してできるようにっていうよりは、体に染み付いて自然にできるようになるくらいしっかりやっていきたいという」という永井は「(今すぐ成果がほしいというよりも)何年か、長いスパンでみています」と腰を据えて飛距離アップに取り組んでいく。
スウィングを変え、クラブを変え、大成に向けて一歩一歩進む21歳・永井の活躍に今後も注目だ。