新たな素材を採用することで大きな進化が生まれてきたゴルフボールの歴史。そんな中、杜仲茶を原料に使ったモデルがキャスコから発売になる。天然由来のエコ素材を使ったボールの真価とは?

2月に発売されたばかりのタイトリスト『プロV1』は、今回でなんと10代目になる。2000年に発売された初代モデルは、現在もツアー系ボールの主流となっているウレタンカバーを採用し、その強烈なスピン性能によって大人気となった。

画像: ボールの素材によって飛びやスピンは大きく変わる(写真はイメージ)

ボールの素材によって飛びやスピンは大きく変わる(写真はイメージ)

それまで糸巻きバラタボールを愛用していたPGAツアーのプロたちも『プロV1』のスピン性能と打感の軟らかさに驚き、続々と使用を開始した。余談になるが、90年代後半はチタンドライバーと2ピースボールをいち早く取り入れていた日本のプロと、パーシモンや小ぶりのメタルドライバーに糸巻きバラタを組み合わせていた海外プロとの飛距離差はさほどではなかった。『プロV1』の登場が、彼らの飛距離差を劇的に大きくしたひとつのきっかけになったのだ。

画像: タイトリストプロV1(左)、プロV1X(左)は10代目となった

タイトリストプロV1(左)、プロV1X(左)は10代目となった

ウレタンカバーの様にマテリアル(=素材)が変わると、大きなイノベーションが生まれる可能性がある。ボールのみならず、ヘッドがチタン素材に変わって倍以上大きくなったり、カーボンシャフトの登場によって軽量化をしたり、新しいマテリアルはゴルフギアの性能を大きく向上してきた。

最近では、一昨年にキャロウェイ『CHROME SOFT』シリーズのアウターコアに採用された「グラフェン」が話題になった。2010年にノーベル賞受賞の対象になったダイヤモンドよりも強い物質だ。

2月にダンロップから発売された『スリクソン Z スター/ZスターXV』の最新モデルには、東大で開発された高分子材料『SeRM®』をコーティングに配合し、スピン量がアップし、傷やよごれに強くなったという。もともと性能には定評があったわけだが、新しい素材が加わることで、さらにもうひと味の機能を実現できたのだ。

画像: 高分子材料をコーティング剤に使ったことでも話題のスリクソン Zスター(左)、ZスターXV(右)

高分子材料をコーティング剤に使ったことでも話題のスリクソン Zスター(左)、ZスターXV(右)

そんな中、健康食品として知られる杜仲茶の木から生まれた原料を採用したボールが発売になるという。それがキャスコの「バイオスピン」だ。天然由来の素材のため、低炭素化の観点からも注目されている。

採用されるのは、日立造船が展開する「トチュウエラストマー®」という材料で、トチュウ(杜仲茶の木)の種子から抽出した成分を精製して作られる。この材料が、ゴルフボールのカバーに求められる優れた耐衝撃性と引張特性、そして耐久性を備えているという。

画像: 杜仲由来の素材を使用したキャスコの「バイオスピン」

杜仲由来の素材を使用したキャスコの「バイオスピン」

メーカーによれば、ウレタンカバーに比べて軟らかく、ヘッドスピードの遅いゴルファーでもしっかりとスピンがかかるという。テストデータを見ると、市場のツアー系ボールを上回るほど、ドライバーの初速が速く、アプローチではスピン性能が高いという相反する性能を発揮していて興味深い。

実はこのボール、もともと1年前に発表されていたが、発売が延期となり、ようやくこの3月28日に正式発売となる。専門家によれば、これまでのボール製造の設備を十分に流用可能なはずということだが、天然由来の材料だけに発売までに予期せぬ苦労があったことが伺える。

価格はオープンだが、1個あたり1000円程度になると予想され、ボール市場の中ではかなり高額だ。しかし、新たなイノベーションを生むかもしれないバイオ素材、一度は試してみたいゴルフギアの筆頭格だろう。

HONMA

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