「WGCメキシコ選手権」を制し、絶好調状態に近づきつつあるというダスティン・ジョンソン。その強さの秘密をデータ分析の専門家ゴウ・タナカが探った!

強さの秘密は「その日のキャリーを知る」ところから

「WGCメキシコ選手権」を21アンダーで制したダスティン・ジョンソン(以下DJ)。タイガー・ウッズやロリー・マキロイなど豪華な顔ぶれが揃う中、圧倒的なパフォーマンスだった。

2位のマキロイには5打差、3位には10打差をつけ、はまったときのDJらしい強さを見せつけた内容だ。その強さの秘密をスタッツ分析から紐解いてみる。

画像: タイガーやマキロイなど豪華メンバーの中で強さを示したD・ジョンソン(写真は2018年のUSオープン 写真/岡沢裕行)

タイガーやマキロイなど豪華メンバーの中で強さを示したD・ジョンソン(写真は2018年のUSオープン 写真/岡沢裕行)

まずスタッツのなかでもっとも大事なバーディ数はどうだろう? 4日間22個で、全体2位とやはりその数値は高い。1位は2位で終えたマキロイの25個だが、DJには5打も離されている。DJはバーディをしっかりとりつつボギーの数は4日間たったの1個(ダブルボギー1個)で全体1位、バーディを量産しボギーもたたかないという安定感が際立っている。ちなみにマキロイのボギーは9個だ。

バーディを量産するにあたり、もっとも重要になってくるパー5において、DJは4日間で7バーディとっている。パー71の設定のため、4日間で12回しかないパー5で7回しっかりとバーディを取れており、確率でいうと58.3%と高水準だ。

その他の数値も見てみよう。ドライビングディスタンス12位タイ、フェアウェイキープ率25位タイ、パーオン率1位、ストローク・ゲインド・パッティング(パットのスコアに対する貢献度)1位、スクランブリング(パーオンしなかったホールでパー以上で上がる確率)2位と、すべての主要なスタッツにおいて隙のない成績で、勝って当たり前だという内容だ。ショットが安定していてパットも入るし、グリーンを外しても寄せるといった具合である。

パー4で13個のバーディを奪っているのは、イーグル1個と2000メートルを超える高地で、DJならではの飛距離で1オンが狙えてしまうパー4が数個存在したのが大きい。

SGPも全体1位で8.466と今大会全体平均より約8.5も良い。つまり4日間で8.5打ほどパターで平均的プレーヤーよりスコアを稼いだということなので、パットの貢献度も非常に高いと言える。この数値をみるとパットでつかんだ勝利と思う方もいるかもしれないし本人もそういった感覚があるかもしれないが、本質はそうではない。

2位のマキロイとDJのスコアがフィールドの平均値と同じだったとしても、マキロイのスコアは12.12アンダーで、DJは12.534アンダーとなる。この事実をみると、DJがロングゲームでいかにスコアを稼いでいるのかが分かる。あくまで高次元のロングゲームの上に、パットが決まりまくったという結果であり、やはりショットでつかんだ勝利と言うべきだ(マキロイもショットの精度はDJと同等と言える)。

この結果は、番手ごとのキャリーを試合前のウォームアップで計測器を使い徹底的に確認するDJの縦の距離のコントールの技術、積み重ねの成果だろう。タイガーウッズももっとも気にしているのは縦の距離感だと日ごろ言っている。高地、気温でかなり飛距離がかわるゴルフ。その日の温度、高度、そして練習場での身体のキレを把握する。

画像: 朝の練習場でトラックマンを使いその日のキャリーを確認するD・ジョンソン(写真は2019年WGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

朝の練習場でトラックマンを使いその日のキャリーを確認するD・ジョンソン(写真は2019年WGCメキシコ選手権 写真/姉崎正)

飛距離を多めに計算しがちなアマチュアは自分の番手のキャリーを正しく認識することで、スコアアップすることは間違いないだろう。また、その日の調子、そして気温は飛距離にかなりの影響を与えるので、自分のいつもの飛距離を無理に打つのではなく、肌寒い日は番手をあげてDJのように無理なく打つことで様々なミスを防げるので注意してみてはいかがだろうか。

気温の低いこの時期は日によってアイアンで1番手、2番手は変わってくるので、飛距離が落ちた、調子が悪いと思わず対処するのが良いだろう。距離計を使い、練習場でその日のSW、PWあたりのキャリーを確認しておき、それを基準にすると他の番手のキャリーもだいたい分かるので、試してみてはいかがだろうか。

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