最後まで練習をしていたのは、鈴木か、原か
「ダイキンオーキッドレディス」は開催地が沖縄ということもあり風との戦いが予想される。案の定、練習日初日は四方八方から吹きすさぶ風が選手たちの練習ラウンドを襲った。低い球で対応する選手もいれば、風を読んで思い切り打つ選手など、その対応は様々だ。
練習日の2日目は風も穏やかで暖かくまさにゴルフ日和な1日だったが、この日は18時から「前夜祭」が行われるため、選手は早々にゴルフ場を後にしてドレスに着替え、前夜祭会場に向かうケースが多い。前夜祭はゴルフ場から離れたホテルの宴会場などで行われることがほとんどなので、移動時間、着替え、化粧直しなど、とくに女性は意外と時間がかかるものなのだ。
18時からの前夜祭に向かうことを考え、16時にはコースを後にする選手が多いのだが、そんな中いつも最後まで練習しているのが鈴木愛。練習の虫と言われることもあり、鈴木はこの日も16時になっても練習グリーンでパット練習をしていた。
いつもなら“ひとり”だが、今回はもうひとり、練習グリーンに残っている選手がいた。ルーキーの原英莉花だ。時刻は16時半。選手が少なくなり取材班も退散する中、この2人を見守る使命感にかられたみんゴルツアー担当。どっちが最後までグリーンに残るのか。
原の練習はボールはひとつ。どうやら「入ればバーディ!」とキャディに声をかけられながら本番を想定し、緊張感を持って練習しているようだ。外したときの残念がりかたも本番さながら。プロにとっては「1球入魂」のパット練習も大切な様子。
時刻は16時40分。ふたりとも練習をやめる素振りを見せない。歩測をし、キャディとラインを読みながら練習を続ける。
16時45分、原が練習を終えた。鈴木はまだ練習を続けている。とはいえ、原が練習をやめた16時45分でも前夜祭にはギリギリだ(結局、鈴木は17時過ぎまで練習)。
気持ちの面で「入りグセ」をつけるためもある
練習終わりの原に、直前まで行なっていたパット練習に関して「何番ホールのどういう状況を想定していた?」と質問してみた。
原の答えは「何番はというところまでは考えてはいませんがそういう練習もします。今回は『これが入ったら帰る!』みたいな帰れまテン方式でやっていました。全然帰れなかったでーす(笑)」という原らしい天真爛漫なもの。
「入るまで帰れない」といったような条件をつけたほうが集中力が増すか? と重ねて問うと「それで入ったときに『入りグセ』がつくじゃないですか。こう思えば(入る)みたいな。気持ちの面でもそういう風にしていくようにしています」(原)とのことだった。
「このパットを入れるまでは帰らない!」という練習を地道に重ねることで、いざというときに「入る!」という気持ちになれる。この少しの差が結果に出るに違いない。