ベテランゴルフライター塩田正が取材を通して教わった「最適なスイングプレーンの見つけ方」を、自身の著書「ゴルフ、“死ぬまで”上達するヒント」よりご紹介。

スウィング面は腰の位置に穴を開けた板をイメージ。その板に沿って振る

私は新しい打法に取り組んだ昭和44(1969)年以来、いろいろな試行錯誤を繰り返しながらも、何とかモダンスウィングらしい打ち方でプレーを続けていた。

昭和60年1月。我が家から近いということもあって、東京郊外のあるカントリークラブに入会した。それまでも2、3のクラブに入っていたが、仕事に追われて、思うようにコースへ出かけられなかった。

今度はクラブも近くなったし、仕事といえば、取材、原稿を書くこと、週に1日、埼玉県にある短期大学へ講師として通うだけになったので、プレーする日も、練習に当てる時間も多くとれるようになった。このクラブに入会して6カ月後には、公式ハンディキャップ7の通知が送られてきた。

そしてこの年の7月、ある出版社の企画で、アメリカのヒューロン大学(サウスダコタ州)を卒業し、同校から教育学博士号を受けたアメリカPGAのメンバーであるゲーリー・ワイレン博士と対談の機会があった。場所は、旧・東京ヒルトンホテル。

テーマは「アメリカの新しいゴルフスウィング」というもので、私はこの対談を通じてアメリカの新しい技術論を聞き出す絶好のチャンスだと思った。

私は「日本ではアップライトスウィングが、新しい打法だと思っている人が多いのですが、その考え方は正しいのでしょうか?」と切り出した。

するとワイレン博士からは「私は今まで、アップライトスウィングがいいといったことも、新しい打法だといったことも一度もありません」という言葉が返ってきた。さらにワイレン博士はこう言葉を継いだ。

「スウィング軌道の基本になるのは、野球のバッターのように腰を伸ばしてスウィングし、だんだん前傾していって、どのくらいのところが一番振りやすいかでアドレスの姿勢が決まり、それによってその人の軌道が決まるものだと思っています。スウィングをアップライトにしようとか、フラットにしようとか、そういう意図でつくられるものではないんです」

スウィングの軌道はあくまでも自分の体に合ったものであり、それに沿ってクラブを振るものだと、彼は力説した。

さらに練習法についても、次のように語ってくれた。

「スウィングプレーンを最初に紹介したのは、ベン・ホーガンです。ガラス板に穴を開け、そのガラス板を基準にしてスウィングするというイメージ練習法です。しかし私の場合は、別に薄い板か、あるいは厚紙でもいいですが、ホーガンのように首のところではなく、腰の位置に穴を開けてスウィング面をつくり、それに沿って振り上げ振り下ろすイメージを描きます。こうすれば傾向として背の高い人はボールに近く立つので、軌道はアップライトになり、低い人は逆にフラットになります」

画像: 腰の位置に合わせてスウィングプレーンをイメージし、沿うように振る

腰の位置に合わせてスウィングプレーンをイメージし、沿うように振る

この話を聞いて、私は本当に目からウロコの落ちる思いがした。

さっそく穴を開けた厚紙の中に腰を入れ、グリップエンドが厚紙に触れるように構え、その厚紙の板に沿うイメージでテークバックの練習を始めた。この弧の感じは、それまで意識的にアップライトに上げていた軌道よりも、かなりフラットだった。

冒頭に、このころラウンドと練習の機会が増えて、ハンディキャップが上がったと書いたが、ワイレン博士の言葉も力になったのか、私のハンディキャップは待望の「片手」の5になっていた。平成2年9月のことで、57歳のときだった。

「ゴルフ、“死ぬまで”上達するヒント」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/西本政明

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