「153ヤードは私の距離」青木瀬令奈
2018年の賞金ランク31位の青木瀬令奈は2015年からシード権を保持する26歳。スタッツを見るとドライバーの飛距離は227.01ヤードで87位(2018年)と、飛ぶほうではない。フェアウェイキープ率は10位で正確なドライバーショットが持ち味でもあるが、距離の残るセカンドショットを打たざるを得ないのも事実。
そんな青木に「得意な距離は何ヤード」と聞いてみると、「153ヤードです!」と即答。150でも、155でもなく、153ヤード? それは一体なぜ?
「私のゴルフの生命線は9W、U5、U6で打つ150から170ヤード前後のクラブです。その距離をしっかりグリーンに乗せることが戦う条件になっています。その中でも153ヤードはU6でピッタリの距離。153ヤードが残ったときは、思わずキター!って思っちゃいます。正直『入るまである』って思うくらいです(笑)」(青木)
なぜその距離が得意なのか聞くと、その辺りのクラブはたくさん練習してはいるが特に根拠はないそう。でも根拠のない自信がツアーで戦うには時には大事なんだそう。
青木のコーチでキャディも務めるプロコーチの大西翔太に話を聞くと、飛距離が出ないからこそ、ショートウッドの技術が磨かれているのだという。
「彼女のは飛ぶほうではありませんがフェアウェイは外さず、そこからウッドやユーティリティでグリーンを狙うスタイルです。そのスタイルが確立されているため、飛距離を求めて大幅にスウィングを変えたりするとプレースタイルも含めて根本から変えてしまうことになり不調になりかねません。アマチュアの方にも言えると思いますが、自分のプレースタイルに合った距離を磨くことが強さにつながります」(大西)
飛べばいいというわけではないのがプロの世界、自分の得意技を磨きに磨く、それもまた激しい競争が繰り広げられるプロの世界を生き抜くために必須のことなのだ。
写真/大澤進二
(2019年3月22 17時38分 一部写真を差し替えました)