一昨年から痛めている前腕のケガの影響で今シーズンは開幕戦からツアーを欠場していたジェシカ。
だが復帰戦最終日に8アンダー64をマーク。優勝したコ・ジヨンに1打及ばなかったが通算21アンダーとし前日の9位タイから2位タイにジャンプアップした。
「痛みのない状態でゴルフができる幸せを感じました。最初は違和感があったけれど徐々に調子が上がり最後にすべてが噛み合いました。18番でバーディが獲れなかったのが悔やまれるけれど満足。すべてに感謝したい気持ちでいっぱいです」
一方4位タイから逆転優勝を狙った妹ネリーは「ジェシカにいつの間にか抜かれていたので焦りました。頑張らなければとスイッチが入ったわ」とバック9の姉の猛攻に刺激を受けて2位タイへと盛り返した。
姉のイーグルを知ったのは父・ペルトさんから「メールがきたから(笑)」。「リーダーボードを見てとにかく姉に追いつかなくでは、と思いました」と相乗効果の優勝争いを振り返った。
弱冠20歳ながら今季のネリーの活躍は目を見張るものがある。ISPSハンダ・オーストラリアン女子オープンでツアー2勝目を飾ったほか、出場5試合すべてでトップ10入り。目下賞金ランク、年間女王を決めるCMEランキング、プレーヤーズ・オブ・ザ・イヤーランキングで1位。バーディ数、トップ10率など主要部門で軒並みトップを独占している。
「ネリーの活躍は大きな刺激になっています。自分がプレーできないジレンマがありつつ、彼女の活躍が私にとっても大きな喜びでありモチベーションになりました。優勝とかそういうことだけじゃなく、プロとして生活面すべてに自覚が芽生えている姿が誇らしいです」
そういうジェシカは今年、ケガだけでない試練に直面していた。復帰戦の活躍に水を差すようでようで恐縮だが、ディフェンディングチャンピオンとして出場を予定していたホンダLPGAタイランドの開幕直前、彼氏でありキャディを務めていたジョニー・デルリート氏が買春の容疑で逮捕されたのだ。
すでに保釈されており容疑事実が真実かどうかはわからない。だがジェシカの胸中が穏やかなはずはない。ホンダとHSBC女子チャンピオンズを欠場して迎えた今回ファウンダーズカップでの復帰だっただけに2位タイという結果には大きな手応えをつかんだに違いない。
昨年も長年悩まされてきたアゴの痛みや頭痛、不眠などの原因である噛み合わせを治すため、3時間に及ぶ大手術を乗り越え復帰したホンダで優勝を飾ったジェシカ。
父はテニスの全豪オープン、弟は全豪ジュニアのチャンピオン。ジェシカとネリーがゴルフ界を席巻する最強一家にはどんな困難にも負けないタフなメンタルがある。今季はまだまだジェシカとネリーの姉妹対決が見られそうだ。
※一部訂正致しました(2019.03.25 16:02)