下半身リードからの地面反力で飛ばす
今週の女子ツアーは宮崎県のUMKカントリークラブを舞台にした「アクサレディス」です。昨年はフェービー・ヤオ選手が制したこの試合を3年前の2016年に制し、その勢いのまま賞金女王争いに名乗りを挙げたキム・ハヌル選手に注目したいと思います。
そのシーズンをランク4位で終え、翌2017年にも3勝を挙げて賞金女王争いを盛り上げてくれました。ただ、そのプレッシャーはやはりかなりの負担になったことでしょう。昨シーズンは2015年の日本ツアー参戦後初めて優勝のないシーズンを過ごし、賞金ランクは29位でした。
不本意な成績だったかもしれませんが、ホステスプロとして迎えた「マスターズGCレディース」では2位になるなど、ここぞという場面では実力を発揮してきます。その最新スウィングを見てみましょう。
注目すべきは切り返しからの下半身の動きです。写真Aをみてください。クラブのポジションなどはほぼ同じに見えるかもしれませんが、右の写真では左のお尻やひざがわずかに動き出しています。
小さい動きなのでわかりにくいですが、左ひざの位置がアドレスの位置に戻るように動いているのがよく見るとわかると思います。これは上半身と下半身の捻転差を作る大切な動きです。
インパクト前後の動きを見てみると、体の左サイドの回転によって手首の形をキープしたままクラブと腕が引き下ろされ、インパクトでは左足が伸びて地面からの反力を使っていることがわかります。切り返しからの回転で生まれたエネルギーを左サイドで受け止めて先端を走らせる、いわゆるカウンターの動きを入れてクラブを効率よく加速させているということで、イ・ボミ選手も同じような動きでクラブを加速させています。
ゴルファーによって、下半身の回転を止めて打つのが合うタイプ、下半身の回転を止めず打つタイプに分けるとするとハヌル選手は前者ですが、どちらが優れているということではなく、自分にマッチしているものを選択したいところです。
たとえば砂の入った袋など重いものをゴルフのように体の横側に投げる動作をすると、マッチする動きが確認できます。投げるときに、回転しながら投げる場合、投げる直前に下半身の回転を止めて投げる場合でどちらが良い結果となるかを確認すると、目指すべきゴルフスウィングが見えてくると思います。
昨年勝利がなかったこともあり、久しぶりにじっくりとハヌル選手のスウィングをチェックしましたが、やはり上位で戦える実力を持っていることは間違いがありません。今シーズンはまた最高のハヌルスマイルを見せてくれるのではないでしょうか。
撮影/姉崎正