「今年も力作ぞろいです!」by林家正蔵
恒例企画となったゴルフ川柳コンクール。応募総数2408点の中から、特に優れているとされた作品を、まずは佳作から発表しよう。佳作に選ばれたのは三句だ。
★ 本命と 言われ続けて 早や10年(神奈川県 ペンネーム Tosh 68歳)
★ フロントで 名前がないよ 日が違う(大阪府 ペンネーム あさり 61歳)
★ パー5 先が長くて みじん切り(静岡県 ペンネーム サクラ 59歳)
どれもゴルフ川柳の王道とも言える“嘆き系”の句が選ばれた。
続いては優秀賞。
★ ピン立てて パットするけど パッとせず(青森県 西村明さん 65歳)
実にタイムリーな、2019年のルール改正がらみの一句が優秀賞に選ばれた。正蔵師匠は、「これはお上手。自虐的な面白さもあるし、5、7、5の初めの文字が『ピ・パ・パ』となっていて、語感もいい」とコメント。
ここで特別賞の発表。
★ 朝だ ゴルフだ 幸福(しあわせ)だ(埼玉県 金子常雄さん 59歳)
「5、7、5でも何でもないんですけど、何でしょう、このゴルフの神髄みたいな感じがするのは」(正蔵師匠)と言うとおり、ゴルファーならば誰もがわかる、“ゴルフの喜び”がわずか12文字に凝縮されている……! でも、あくまで「5、7、5でも何でもない」ので特別賞のようだ。
そしていよいよ最優秀賞の発表……の前に、みんなのゴルフダイジェスト編集部が気に入った一句を発表。それが見出しにもなっているこちら。
★ 言い残す ことはないかと 球に訊く(神奈川県 ペンネーム はますだれ 57歳)
OBが浅いホールなのか、はたまた谷越え、アイランドグリーンか……ティアップ直前、マイボールと向き合うゴルファーの切ない心情(?)が伝わってくる。
さて、では改めて最優秀賞の発表。
★ 空振りは 人が振り向く 音がする(鹿児島県 大野究さん 62歳)
正蔵師匠は「空振りの音って、素振りとは決して違う音なんですよね。ティショットのときはもちろんですが、2打目以降で、みんながバラバラの場所にいたとしても、“その音”がすると、みんなハッとする。その後の微妙な沈黙……その後、その人がどんなリアクションをとるかに人間性が出るんですよ」と熱弁。
空振りで人が振り向き、そのあと空振りしたゴルファーがどうリアクションするのか。そのリアクションに対し、振り向いた同伴者はどう対応するのか……ゴルフ場に訪れた細かすぎる緊張の瞬間! その一瞬を17文字で切り取った点が評価されたようだ。
週刊ゴルフダイジェスト4/16号には、ここで紹介した以外の珍作・名作が多数掲載されている。正蔵師匠と編集部による掛け合いが絶妙な選評も楽しめるので、ぜひチェックしてみよう!