距離感を「揃える」ためにはなにが必要?
グリーン周りの距離が短いアプローチは、振り幅が小さいので当てやすいし、距離感もそこそこ合ってくれる。ところが、少し距離があって、フルショットまでは必要のない50ヤード程度のアプローチは、振り幅が中途半端で距離を合わせるのが意外に難しい。しっかり体を使って打たなくてはいけないことは分かっているが、手打ちでも打ててしまう距離なのでやっかいだ。
「手打ちになってしまうと、50ヤードを届かせることができても、毎回きっちり距離を揃えるのが難しくなってしまいます。個人差はありますが、50ヤードだと左腕が地面と平行、クラブが垂直ぐらいのバックスウィングの大きさでしょう。トップのポジションに来たとき、胸のラインとクラブのラインが平行に揃っていれば、しっかり体を使ってバックスウィングできている証拠。しかし、胸のラインがアドレス時とあまり変わらず、垂直なクラブのラインと揃っていない場合は、手打ちになっています」(原田、以下同)
繊細で器用に動かせてしまう手先よりも、鈍感な体の大きな筋肉を主体に振ったほうが、再現性が高く、スウィング軌道も安定するので、距離感も合いやすいという。
「手先だけでクラブを上げず、胸をしっかり回すのがポイント。下半身(腰の向き)はあまり動かず、胸はしっかり回っているというのが理想です」
そして距離を正確に揃えるコツは、インパクトからフォローのクラブの使い方にあるという。
「トップでは手首のコックが入って、クラブが地面と垂直に立ちますが、フォローではクラブを立てず、腕とクラブが一直線で地面と水平に収まるように振ります。フォローでクラブを立てる動きが入ると、ヘッドが必要以上に走ってしまうため、思わぬ距離が出てしまったり、それを嫌がってゆるんだりと、距離感がバラバラになりやすいのです」
ここで原田プロが取り出したのは、アドレス時のスタンス向きなどをチェックするときに使うアライメントスティック。これを使って、正しい体の動かし方、クラブの使い方を覚えるためのドリルを紹介してくれた。
「胸のラインを意識しやすいように、左手でスティックを胸にあてます。この状態で右手1本でウェッジを持ち、50ヤードの振り幅でシャドースウィング(あるいは素振り)をしましょう。アドレスではスティックとクラブがちょうど直角の“Tの字”になります。ここから胸をしっかり回しつつ、手首のコックを入れてバックスウィング。トップではスティックとクラブが平行に揃うようにします。ダウンスウィングからインパクトでスティックとクラブがまたTの字に戻り、それを維持したままフォローまで振り抜いていきます。Tから平行になり、Tに戻る。このクラブと胸の関係性を意識してください」
これで感覚がつかめたら、次に行うといいのが、同じくアライメントスティックを使って、実際にボールを打つドリルだ。
「スティックが体の左側にくるようにクラブと一緒に持ちます。この状態でボールを打ちますが、インパクトからフォローで手首のリリースが入ると、スティックが体に当たってしまいますよね。スティックが体に当たらないように振ることで、インパクトのクラブと胸のラインのTを保ったまま、フォローを出していく感覚がつかめます。またトップではしっかり手首のコックが入り、クラブが地面と垂直になっているかもチェックできます。この打ち方なら、ヘッドのスピードをコントロールしやすいので、距離感も揃ってきます」
50ヤードという基準の距離を体に覚え込ませることができれば、中途半端な距離のアプローチでも、しっかり距離を合わせることができるようになる。スコアメークに大いに役立つので、ぜひ試してみよう。
協力/富里インターゴルフ練習場