飛ばし屋ふたりを正確性で凌駕した
最終組でともにプレーしたのは300ヤードを軽々超えるアメリカとニュージーランドの若手プレーヤー。世界レベルの飛距離の選手を相手に、平均284.13ヤードながら、フェアウェイキープ率10位タイの正確なショットで勝利を手にした浅地選手のプレーは見事なものでした。
実際、賞金ランク56位でシードを獲得した2018年と今シーズン(5月13日時点)のデータを比べてみると、フェアウェイキープ率は24位(59.05%)から7位(64.29%)と大幅にランクアップしています。
もちろん何度も寄せワンを拾ったバンカーショットやパットの巧みさも忘れてはなりませんが、ドライバーの精度アップは今回の優勝の大きな要因と言えるでしょう。早速、そのスウィングを見てみましょう。
クラブを立てて上げ、フラットに下ろす
会場に足を運んだり、テレビをご覧になった方は印象に残ったと思いますが、やはり特徴は独特の流れるような切り返しです。
バックスウィングでフェースを閉じながらクラブを立てるように上げ、切り返しではフラットなポジションへとクラブを移行させているのがわかると思います。
画像Aの、切り返しの下半身の動きを見てください。左はトップ直前のクラブが立った状態、右はトップ直後でクラブがフラットな位置に下りてきた状態ですが、上半身の向きが変わらないまま、下半身だけ先行していることがわかると思います。あくまでも、下半身のリードでクラブが動かされていることが重要です。
続いては、画像Bをご覧ください。写真左はダウンスウィング初期、右はインパクト直前の写真ですが、シャフトの角度がほぼ同じ。インパクト時のシャフトプレーンの上をクラブが滑るように降りてきていることが分かります。
フラットな軌道を描く分、手元の位置が低く、浅い入射角でボールをとらえられています。下半身もしっかりと回転しています。
独特の柔らかな切り返しとタイミングが、縦の距離を調節しないドライバーショットにおいて非常に安定感を発揮していました。優勝争いのプレッシャーの中、とくに難易度の高い507ヤード(パー4)の15番ホール、17番パー5のドライバーショットは素晴らしいショットでした。
今大会のコースは距離があり、グリーンは硬く、さらにフェアウェイも硬いことで、フェアウェイヒットしたボールでも転がってラフに入る難コンディションのセッティングでした。そんな中、飛距離の出る外国選手との優勝争いは見ごたえがあり、浅地選手のプレースタイルが輝いて見えました。
この優勝で全英オープンの出場権も獲得。海外メジャーを経験し、今後さらに成長することでしょう。日本ツアーを牽引する選手に育ってほしい逸材です。