「あ~、やっぱり集中が切れちゃった」そう言って目の前のベストスコア更新のチャンスを逃してきた方も多いのではないだろうか。ゴルフのプレー時間は確かに5時間程度と他のスポーツに比べれば長く、集中力を保つのは難しいように感じられる。
しかし、実際自分がボールを打つために使う時間というのはプレー時間全体のうちのほんの一部に過ぎない。ということは必要な時だけ集中できれば良いのだが……どうすればそれが実現できるか、考察してみた。
集中を阻害する2つの要因
まず、集中力を阻害する要因から考えてみよう。これには2つあると考える。
まず1つ目は「スマホの存在」だ。ラウンド中にメッセージをやり取りしたり、写真を撮ったり、SNSを見たりとスマホ片手に大忙しだが、これでは集中力を保てるはずがない。
どうしても仕事上の連絡をやり取りしなければならないというわけでなければ、出来るだけロッカーにスマホを置いてくると良いだろう。
2つ目は「思考するクセ」だ。我々は行動する際、つねにその行動を起こす根拠や妥当性を求めるのが普通。そうでなければ実生活においてとんでもないミスを犯す可能性があるからだ。
そのため、我々は行動をしつつ、常に頭を働かせる習慣が身についている。こうした習慣はゴルフスウィングにおいても同様で、たとえば「〇〇に注意すれば上手く打てる」と考えながらスウィングするケース。いろいろ考えすぎて、かえってミスになるというケースだ。
ではどうすればいいか。スマホに代表されるデバイスを使って大量の情報をインプットし、その都度考えを巡らせることに慣れ切った我々が集中力を取り戻すためには、まず「考えないこと」を練習する必要がある。
たとえばゴルフと異なり、テニスやサッカーのような瞬時のリアクションを求められるスポーツでは考えごとをしているゆとりはない。それでも時に針の穴を通すような精度を発揮できる。つまり、たくさん考えたかどうかと動作の正確さにはあまり関係がないのである。
おすすめの練習方法は、とにかく目標だけを見てすぐにボールを打つという練習。たとえば練習グリーンで自分の周りに3,4個ボールを置いて、目標となるピンを決めたらすぐに打つのだ。まさに、サッカーでいうパスを受けたフォワードの選手が振り向きざまにシュート決めるような具合だ。なんだか無茶なようにも感じるかもしれないが、これが面白いことに繰り返すうちに意外と慣れていくもの。もちろんパッティング以外でもこうした練習方法は応用できるだろう。
次第に「考えなくても上手くいく」と感じることができたら効果の表れだ。
◆思考と集中のバランス
ただ、実際のラウンドとなると思考と集中のバランスが必要となる。正しいコースマネジメントをするには、状況の把握とそれに伴うショットやクラブ選択などの判断が必要で、まさに「思考」の役割である。
つまり、思考力を使う(考える)ときと、打つことに集中する(考えない)ときとでメリハリをつけることがスコアに結び付く。これもまた鍛錬を必要とするスキルだ。自分なりのルーティンを作ったり、フォーカスバンドなどの練習器具を使って集中状態を可視化したり、はたまたメンタルトレーニングを用いて思考と実行の明確な境界線を作ったりと方法は様々。自分にあったやり方を見つけて是非取り入れてみてほしい。