関西オープン最終日。前半が終わって、最終組のひとつ前の組でプレーする大槻智晴と星野陸也が優勝争いに浮上してきました。ともに茨城県出身であり30歳と23歳。若い二人の優勝争いは、中々に撮り甲斐のある戦いになりました。
30度を超える5月とは思えない全国的な猛暑。ここ、奈良KOMAカントリークラブその中にいます。前週の全米プロでの撮影を終えて数日休養の後、決勝ラウンドの土曜日からこちらに入りました。久保谷健一・片山晋呉のプレーオフで久保谷が優勝した17年前の日本プロ以来です。
最終日の朝一番、昨日撮影したスイッチショット(左右両打ち)の高橋慧選手のクラブセッティングをチェック。前日入れていたレフティドライバーが入っていないことを確認、彼の今日の撮影を断念します。よって、インスタートの選手を撮影することは、スコアの劇的な躍進がない限りしないことを決めました。
最終日も正午過ぎ。大槻・星野・チャルングン組に付き始めた最初の10番ホールでいきなり大槻・
星野ともにバーディ。こりゃ、この二人から優勝者が出る可能性大。さらに付くしかありません。
入れたら入れ返す。そんな展開が数ホール続いて、その後ここぞが決めきれない展開です。
こうしたマッチレースを撮っていると、思い出すのは2016年のミケルソンとステンソンの全英オープン最終日の戦い。二人はまるで殴り合って、そして共に後に引かないタフな戦い、体からメラメラと青い炎がでている様な戦いでした。
そんな戦いを今目の前で見てる気分です。否、そうした戦いを見たい気持ちです。その時全英は雨風の悪天候、今の関西オープンは猛暑の悪天候。
最終ホールで、大槻渾身のバーディを入れてプレーオフ突入。ここぞで大仕事をやってくれました。
プレーオフはそれから4回。325ヤード、二人にすればワンオンも可能な打ち下ろしのパー4、18番ホールで繰り返されました。
二人は毎度、(多分)迷うことなくティショットでドライバーを使用。ときとして絶望的なピンチを凌いだ大槻、決めきれなかった星野。
右に左に二人のティショットは揺れ、バンカーに吸い込まれ、ラフに沈み、そこから3度二人はパーで上がり4度目に大槻がバーディ。普段物静かな印象の大槻から、この時一瞬赤い炎が見えた気がしたのは猛暑のせいでしょうか。
優勝インタビューで大槻の目が潤んで見えました。おめでとう大槻選手。そして、敗れた星野選手、
グッドルーザーでした。
撮影/姉崎正